2011 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質間相互作用に着目したニューログロビンの酸化ストレス応答制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Signaling functions of reactive oxygen species |
Project/Area Number |
23117704
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
若杉 桂輔 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (20322167)
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Keywords | 蛋白質 / シグナル伝達 / ストレス / 脳・神経 |
Research Abstract |
ヒトのニューログロビン(HNgb)には、酸化ストレスに伴う神経細胞死を抑制する働きがある。私はHNgbの作用機序の解明を目指し、以前yeast two hybrid screening法により、脂質ラフトの主要な構成蛋白質であるflotillin-1とHNgbが結合することを明らかにした。本研究では、まず、脂質ラフトにHNgbが存在するかどうか検討したところ、HNgbが酸化ストレスに伴い脂質ラフトに移行することが明らかになった。そこで、蛋白質間相互作用の解析をGSTプルダウン法により行った結果、酸化ストレス下でのHNgbはflotillin-1と特異的に結合する一方、通常環境下のHNgbはflotillin-1と結合しないことが明らかになった。さらに、コレステロールを除去することで脂質ラフトを破壊するメチル-β-シクロデキストリン(MβCD)をSH-SY5Y細胞の培地中に添加すると、HNgbによる神経細胞死抑制効果が無くなり、MβCDと同時に過剰量のコレステロールを加えるとHNgbによる神経細胞死抑制が起こることから、脂質ラフトへのHNgbの移行がHNgbの細胞保護効果に必須であることが明らかになった。また、私は以前、魚類Ngbには培地に添加すると哺乳類培養細胞の細胞質中に移行する細胞膜貫通特性があることを発見した。本研究では、魚類Ngbは魚類培養細胞に対しても細胞膜貫通能を持っていることを実証した。現在、魚類Ngbの生理機能の探索を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
HNgbが酸化ストレス下に脂質ラフトに存在することを実証し、さらにHNgbの神経細胞保護能における脂質ラフトの重要性を明らかにすることに成功した。また、酸化ストレス下でのHNgbの立体構造変化がHNgbの細胞保護能に必須であることを示すこともできた。
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Strategy for Future Research Activity |
HNgbとヘテロ三量体Gタンパク質のαサブユニット(Gα)との相互作用において重要なGα内のアミノ酸残基を特定することに挑む。また、HNgbと脂質ラフト構成蛋白質flotillin-1やシステインプロテアーゼ阻害因子cystatin Cとの蛋白質-蛋白質間相互作用に関わるアミノ酸残基の特定も行う。そして、蛋白質-蛋白質間相互作用できない変異体を細胞内に発現させ、神経細胞死抑制に関し解析することにより、蛋白質-蛋白質間相互作用の重要性について明らかにすることを目指す。さらに、魚類Ngbの新規生理機能の解明を目指す。特に、ゼブラフィッシュNgbが魚類培養細胞質内に移行し酸化ストレス関連のどんな機能を担っているのか解明することを目指す。
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Research Products
(11 results)