2011 Fiscal Year Annual Research Report
ATPの酸化体によるシグナル伝達
Publicly Offered Research
Project Area | Signaling functions of reactive oxygen species |
Project/Area Number |
23117713
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土本 大介 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (70363348)
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Keywords | 酸化ATP / 細胞死 / 細胞増殖抑制 / p38MAPK |
Research Abstract |
1 細胞を2-OH-adenosine(2-OH-Ado)で処理した際のp38MAPKリン酸化に関与するタンパク質の同定を目的として、MKK6に結合するタンパク質を探索した。方法としてFLAGタグ付きMKK6をT5v細胞中で発現させ2-OH-Ado処理後に細胞抽出液を調製、抗FLAG抗体を用いた免疫沈降を行った。結果、洗い処理により結合タンパク質がほとんど無くなったので、現在はクロスリンク法を用いた条件の検討を進めている。 2 2-OH-Adoを培地に添加すると細胞のp38MAPKがリン酸化するが、酸化ストレスで内在性のadenosineが2-OH-Adoへと酸化されることがあるのか検討した。in vitroでは以前に報告があった通り、Fe2+とキレーターEDTAの共存化でadenosineの1%弱が2-OH-Adoに変化した。EDTAは細胞内へ取り込まれないため、細胞膜透過性のEDTA誘導体を用いて細胞内で2-OH-Adoが産生されるか調べている。また、H202処理下での2-OH-Ado産生の可能性を検討している。 3 細胞内で2-OH-ATPが産生されることを確認するために、細胞からの検出法の検討を進めている。細胞抽出液中に添加した2-OH-Adoを検出できているが回収率が約3%と低いため、細胞内での検出限界が18.5μMとなる。そのため、回収率を改善させるための検討を進めている。 4 ATPの酸化的脱アミノ化体であるイノシン三リン酸(ITP)分解酵素ITPAならびにNUDT16の欠損による細胞増殖抑制がミスマッチ修復経路に依存することを明らかにした。またNUDT16欠損マウスの作製を進めている。 5 酸化GTPに結合するPRUNE2タンパク質の同定と後根神経節での高発現について論文発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
結合タンパク質スクリーニングは結合タンパク質の結合能の弱さが問題となった。また内在性2-OH-adenosine産生条件も確立するに至らなかった。更に細胞内2-OH-ATP検出法もステップが多いため回収率に問題があった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 結合タンパク質スクリーニングについては架橋法により改善を試みる。また結合を指標にするだけでなくPhos-Tag SDS-PAGEを用いた候補タンパク質リン酸化状態のモニタリングなども行う。 (2) 内在性2-OH-ATP産生については細胞膜透過性のEDTA誘導体投与に対してT5vとT5MTH細胞が若干感受性の違いを示したので誘導体投与時の2-OH-ATP濃度を詳細に解析したい。 (3) 細胞内2-OH-ATP検出法もステップを減らす事により回収効率上昇を試みる。 (4) イノシンヌクレオチドによる細胞増殖抑制機構については早めに論文化を行う。
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