2011 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素シグナル解明のための光制御ピンポイントNO類ドナー
Publicly Offered Research
Project Area | Signaling functions of reactive oxygen species |
Project/Area Number |
23117715
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中川 秀彦 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (80281674)
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Keywords | シグナル伝達 / 有機化学 / 一酸化窒素 / ケージド化合物 / 光化学 |
Research Abstract |
これまでの研究成果を基に活性酸素シグナルの解明に応用するための光制御NO類ドナーを開発する。具体的には、既に開発済みの二光子作動型NOドナーを培養細胞系に適用し、照射条件・濃度条件を検討して細胞内NO放出能を検証する。また、ミトコンドリア局在性官能基の導入によりミトコンドリア特異性を付与するとともにNO放出の高効率化を目指す。さらに、独自の光誘起反応を基に化合物を分子設計し、生理学的条件で使用可能なONOO-ドナーを開発する。培養細胞へ適用可能な光制御HNOドナー開発も目指す。上記の目標のもと、今年度は下記の結果を得た。 光制御NOドナーについては、これまでに開発した二光子作動型NOドナーFlu-DNBをもとに、長波長クロモフォア部分と光NO放出部分の連結部(リンカー)を検討し、Flu-DNBより長波長かつ高効率で二光子励起NO放出を行うあらたな光作動性NOドナーFlu-DNB-DBを開発した。Flu-DNB-DBは1光子励起の場合、可視光領域の青色光でもNO放出を誘導できることも判明した。ここで得られた知見を今後のミトコンドリア局在型光制御NOドナーの開発に活かすこととした。開発済みの二光子作動型光制御NOドナーFlu-DNBについて培養細胞系でも二光子作動型NOドナーとして機能することが判明した。 光制御ONOO-ドナーの開発については、独自に見いだしたONOO-様活性種放出光誘起反応を基に開発した新たな光制御ONOO-ドナーを培養細胞系に適用し、培養細胞内でも光刺激を利用してONOO-放出を誘導できることを示した。 光制御HNOドナーについては、より選択性の高いHNO放出反応の探索を行うため、自発分解型HNOドナーの誘導体を多種合成した。これらの化合物の予備的な検討から官能基の種類によりHNO放出能が異なることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、細胞内で利用可能なオルガネラ特異的NOドナーの開発に成功し、応用展開に向けて準備を進めているから。
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Strategy for Future Research Activity |
光作動性NOドナーおよび光作動性ONOO-ドナーについては、順調に研究が進展していることから、予定通りミト開発を進める。 光作動性HNOドナーについては、ごく最近、HNOドナーのHNO放出特異性について新たな知見が報告され、特異性に関する精査を再検討しなければならなくなったことから、HNO放出反応の精査からドナー開発を進めることとし、本年度一部実施した。来年度もこの方針で開発を進める。
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