2011 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症候群に伴う急性巨核球性白血病の多段階発症の分子機構
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular mechanisms of cell fate determination in the cells that undergo stepwise differentiation to multiple pathways |
Project/Area Number |
23118501
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊藤 悦朗 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20168339)
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Keywords | ダウン症候群 / TAM / 巨核球性白血病 / 発現クローニング / レトロウイルス |
Research Abstract |
ダウン症候群に伴う急性巨核球性白血病(ML-DS)発症の過程で起こる多段階の遺伝子変異を解明し、細胞分化における運命決定メカニズムを明らかにすることを目的として本年度は以下の研究を進めた。 1.TAMおよびML-DS細胞からmRNAを抽出し、cDNA合成し、doubl estrand DNA化した後、BstXIアダプターをライゲーションした。pMXレトロウィルス・ベクターに組み込み、エコトロピック・ウィルス産生細胞PLAT-Eへプラスミドを導入した。PLAT-Eが産生したウィルスを回収しライブラリーとする。ライブラリーをIL-3依存性細胞株に導入後、培地よりサイトカインを除き、サイトカイン非依存的に増殖する細胞を選択した。細胞よりレトロウィルス・クローンの挿入断片をPCR法にて増幅し、RasGRP4を同定した。 2.TAMからML-DSに進展した同一患者のTAM、ML-DSおよび寛解時の細胞からゲノムDNAを断片化し、次世代シークエンサーで全エクソンの塩基配列を解析(エクソーム解析)した。得られた候補遺伝子をサンガー法でvalidationした。その結果、TAMではGATA1遺伝子以外の変異はほとんど見られなかったが、ML-DSでは平均6個のGATA1遺伝子以外の変異が同定された。同定された遺伝子には、ML-DSの約30~40%に認められる同一のpathwayの遺伝子変異が検出された。現在、その遺伝子の機能解析を計画中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発現クローニングを用いた方法では、これまでのところ新規のML-DSの原因遺伝子の同定は成功しなかったが、次世代シークエンサーを用いた全エクソーム解析で新規の遺伝子変異を同定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
TAMからML-DSに進展する過程で起こる新規原因遺伝子の機能解析を計画している。また、発現クローニングの成功率を高めるために遺伝子導入に用いる細胞株を選択する必要が思われる。
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Research Products
(10 results)