2011 Fiscal Year Annual Research Report
赤芽球におけるLMO2を介した転写制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular mechanisms of cell fate determination in the cells that undergo stepwise differentiation to multiple pathways |
Project/Area Number |
23118502
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤原 亨 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (60333796)
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Keywords | 遺伝子 |
Research Abstract |
細胞分化における遺伝子発現の調節には細胞系列特異的な転写因子が関与していると考えられており、このうち赤血球の分化においては、GATA-1転写因子が重要な役割を果たしている。GATA-1は、Sc1/TAL1、LMO2、LDB1、ETO2などの転写因子もしくは共役因子と複合体を形成していることが明らかとなっており、これらの因子がGATA-1による遺伝子発現制御に影響を及ぼしていることが予想される。このうち非DNA結合蛋白質であるLMO2は、赤芽球におけるその強制発現により分化が抑制される報告があるものの、赤芽球系遺伝子発現への影響および赤芽球エピゲノム形成への寄与など、その分子学的メカニズムは明らかとなっていない。本研究においては、LMO2の赤芽球遺伝子の発現制御の詳細な発現プロファイル及び発現抑制に寄与する分子メカニズムを明らかにすることを目的とする。 具体的にはヒトCD34陽性細胞からの赤芽球分化系を用い、LMO2のノックダウンを行った後の遺伝子発現変化についてのマイクロアレイ解析とともに、免疫沈降シーケンス法を施行する予定である。今年度は、まず赤芽球系細胞であるK562細胞におけるLMO2の意義について解析を行った。K562細胞において、LMO2のノックダウンを行うことにより、以前に我々がGlE細胞で行った結果と同様に多くの遺伝子が発現上昇を認めたが、一方でグロビン遺伝子をはじめとした赤血球特異的遺伝子の発現低下を認めたことを明らかとした。さらに、CD34陽性細胞由来の赤芽球分化系において同様にLMO2のノックダウンを行うことにより、同様にグロビン遺伝子の発現低下を認めた。今後これらの実験系を用いて、LMO2を介した転写抑制メカニズムについて明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト赤芽球分化系の確立及び変動遺伝子の同定まで施行済みであるため。
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Strategy for Future Research Activity |
変動遺伝子群のヒストン修飾の変化についてクロマチン免疫沈降法などを用いて明らかとするとともに、その結果をもとに転写抑制に寄与しうる分子メカニズムを予測・検証する。
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