2011 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞分化におけるエピゲノム修飾制御に関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular mechanisms of cell fate determination in the cells that undergo stepwise differentiation to multiple pathways |
Project/Area Number |
23118508
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
油谷 浩幸 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (10202657)
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Keywords | 細胞分化 / エピゲノム / DNAメチル化 / クロマチン / 転写制御 / 心筋分化 |
Research Abstract |
P19CL6細胞は高効率に心筋分化することが知られており、細胞運命決定におけるエピゲノム制御の研究に適しているため、初年度では心筋分化系の解析を優先的に実施した。 本細胞をWnt刺激することにより分化抑制が認められることからβ-cateninの標的遺伝子を探索する目的でChIP-seq解析を行った。さらにd0,d3,d6,d9の4点でヒストン修飾、RNA-seq、chromatin accessibilityを反映するFAIRE解析(Formaldehyde Assisted Isolation of Regulatory Elements)データを時系列で収集することによって、心筋分化を制御するゲノム領域の特定を試みた。時期特異的にオープンになるクロマチン領域に高頻度に認められた配列モチーフから、心筋細胞分化を制御する転写因子Xを同定した。 近年、TET蛋白によってメチルシトシンから生成されるハイドロキシメチルシトシン(hmC)はDNA脱メチル化のプロセスに関与する。成人組織にもかなりの量のhmCが存在しており、心筋細胞のように成人では分裂しない組織ではその動態が注目されている。hmCに対する抗体を用いて免疫沈降されたDNA断片のシーケンス解析を行い、hmCの分布は分化に伴い変動することが認められ、他のエピゲノム標識との関連を解析中である。 ヒトES細胞の肝細胞分化系は細胞集団がヘテロであり、分化にも1ヶ月程度の時間がかかることから現在検体調製を進めているところである。HepG2細胞を用いたSmad蛋白の結合領域の同定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトES細胞からの肝細胞分化系検体調製を進める間に、高効率に心筋分化するP19CL6細胞を用いてヒストン修飾、FAIRE解析、転写因子結合などの統合的解析を推進した。
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Strategy for Future Research Activity |
心筋細胞分化系の解析から明らかになったように特定の細胞系譜への運命決定の過程ではエピゲノムがダイナミックに変化するので、調節領域および制御因子を明らかにしたい。
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