2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナチュラルヘルパー細胞の分化機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular mechanisms of cell fate determination in the cells that undergo stepwise differentiation to multiple pathways |
Project/Area Number |
23118526
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
茂呂 和世 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教(非常勤) (90468489)
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Keywords | ナチュラルヘルパー細胞 / 分化 / IL-33 / IL-25 / CLP / Th2 |
Research Abstract |
ナチュラルヘルパー(Natural helper:NH)細胞は、脂肪組織に存在するfat-associated lymphoid cluster(FALC)に存在するLineageマーカー(CD3,CD4,CD8α,CDllc,CD19,TCRβ,TCRγδ,B220,NK1.1,Mac-1,Gr-1,FcεR1α)陰性でc-KitおよびSca-1を発現する自然免疫系の細胞である。これまでの研究からNH細胞は分化にIL-7を必要とし、IL-2刺激によって増殖すること、またIL-2とIL-25の共刺激やIL-33の単独刺激により多量のTh2サイトカイン(IL-5、IL-6、IL-13)産生をすることを明らかになっている。 NH細胞はその形態や、リンパ球欠損マウスであるγc-/-Rag-2-/-マウスで欠損すること、マイクロアレイ解析によるクラスター解析からリンパ球系譜の細胞であると考えられ、T細胞、B細胞、NK細胞とその前駆細胞をある時点まで共有している可能性が強く示唆された。そこで、野生型マウスのcommon lymphoid progenitor(CLP)をγc-/-Rag-2-/-マウスに移植した結果、FALCにおいて成熟NH細胞が検出された。 CLP以降のNH細胞分化にどのような因子が必要かを調べるために、CLPをin vitroでのリンパ球分化を誘導するTSt/4およびTSt/4-DLL1細胞と共培養したところ、TSt/4-DLL1細胞との共培養時にIL-7とIL-25を添加することで成熟NH細胞へと分化することが明らかになった。 IL-25やIL-33はアレルギーや寄生虫感染に関わるサイトカインとして近年注目を集めており、IL-25やIL-33刺激によるNH細胞の過剰なTh2サイトカイン産生はアレルギー悪化因子の1つとなっている。本研究を遂行することで、NH細胞の分化機構を理解することは喘息や花粉症、腸炎等、様々なの病態解明につながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
IL-7+IL-25刺激によるCLPからのNH細胞のin vitroでの分化法を確立出来たことは、今後NH細胞分化機構を追究する上で非常に有益である。このシステムを用いることでNH細胞のマスター制御遺伝子解明や、他のリンパ球との分岐に必要な因子を解明できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年確立したin vitroでの分化法を用いて、CLP以降NH細胞がT細胞やB細胞、NK細胞とどのように分化を共有し、枝分かれしていくかを明らかにしたい。また、骨髄のCLPから脂肪組織のEALCに存在する成熟NH細胞となるまで、どのような経路をたどるのかにも着目したい。
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