2011 Fiscal Year Annual Research Report
マスターレギュレーターを介した相反的G1/S制御による細胞系列分岐のメカニズム
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular mechanisms of cell fate determination in the cells that undergo stepwise differentiation to multiple pathways |
Project/Area Number |
23118529
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
佐藤 健人 東海大学, 医学部, 准教授 (50235363)
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Keywords | Runx / Th-POK / 細胞運命 / 細胞周期 / 転写因子 |
Research Abstract |
胸腺CD4/8両陽性(CD4/8 double positive,DP)細胞からヘルパー系CD4 T細胞とキラー系CD8、T細胞が分岐する際、転写因子Th-POK,Runx3はそれぞれの分化におけるマスターレギュレーターである。このとき、分化のトリガーである抗原レセプターを介したシグナル、あるいはキラー系CD8T細胞への分化にとりわけ重要なサイトカインレセプターを介したシグナルが、細胞周期のG1-S進行に対してそれぞれ抑制的または促進的に働き、この相反的なG1-S制御に依存して細胞系列決定が行われることを見出した。このような細胞系列決定の機構-- "reciprocal G1/S control model" と呼ぶことにした--の分子的機序の解明を目指し、胸腺DP細胞に各種細胞周期制御分子の強制発現並びにノックダウンを行い、抗原レセプターによる分化誘導・細胞系列決定への影響を検討している。 Runx3発現が抗原レセプターシグナルによるG1 arrestおよびCD4 T細胞系列への分化を抑制する一方、Runx3によるTh-POK抑制・CD4抑制・CD8活性化が、いずれもDNA複製ライセンス因子Cdt1の抑制因子Gemininの発現により阻止されることが確認された。一方、c-myc,AktがRunx3と同様に抗原レセプターシグナルによるG1 arrestおよびCD4 T細胞系列への分化に拮抗的に働いた。ミモシン、ラパマイシンなどG-S阻害剤がヘルパー系CD4 T細胞への分化に促進的、CD8T細胞への分化に拮抗的に働くことを考え合わせると、G1-S進行制御とTh-POK,CD4,CD8遺伝子の制御が密接に関連すると思われる。現在分子機構の詳細について、更なる検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々が提唱しているモデルをサポートする実験データを着実に蓄積している。分子機構の詳細を解明するための準備も整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
胸腺DP細胞株に各種CDK inhibitorを薬剤依存的に発現させ、Runx3によるTh-POK抑制・CD4抑制・CD8活性化をgemininと同様に阻止するか否か、またこれらCDK inhibitorのノックダウンがTCRシグナルによるCD4系列への分化を抑制するか否かを明らかにする。一方、gemininがRunx3による標的遺伝子制御を阻止する機構について、(1)DNAへの結合が低下するか否かをChIP assayにより、(2)Runx3のリン酸化がgemininにより影響を受けるかどうかをPhos-Tagを用いた生化学的解析により、(3)Runx3に結合する因子がgemininにより影響を受けるかどうかを抗Runx3免疫沈降物のproteomics解析により検討する。
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Research Products
(6 results)