2011 Fiscal Year Annual Research Report
造血細胞の増殖・分化を制御するクロマチン構造変換の分子機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular mechanisms of cell fate determination in the cells that undergo stepwise differentiation to multiple pathways |
Project/Area Number |
23118530
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
福永 理己郎 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (40189965)
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Keywords | G-CSF / 好中球 / シグナル伝達 / 発現制御 / クロマチン / 発生・分化 |
Research Abstract |
研究計画に基づいて,以下の(1)~(3)の研究を実施した。(1)まず,好中球前駆細胞においてBRG1/BRM複合体の主要成分(BRG1,BRM,BAF155,BAF170)が全て発現していることを確認した。各分子の発現量は細胞分化の前後において特に変動しなかった。次いで,これらの分子をヒト293T細胞で発現させてC/EBPαとの相互作用を免疫沈降によって解析した結果,C/EBPαと直接に結合するのはBAF155およびBAFI70であることが示唆された。(2)C/EBPαの翻訳後修飾について検討した結果,G-CSF刺激によってSer21,Thr222/226のリン酸化レベルは変動しないことが分かった。一方,好中球前駆細胞(FDN1.1細胞)において,C/EBPγがC/EBPαと二量体を形成して標的遺伝子プロモーターに結合することを見出した。好中球前駆細胞でC/EBPγを高発現させるとG-CSFによる遺伝子発現が低下することから,C/EBPγがヘテロ二量体形成によってC/EBPαの転写活性化作用を抑制することが示された。一方,C/EBPγをノックダウンした細胞では,G-CSF標的遺伝子の発現動態に明らかな変化は認められなかったが,主要なC/EBPα(42kDa)よりも大きいC/EBPα分子種(約60kDa)の発現レベルが顕著に増加することを見出した。(3)p400/mDominoのクロマチン免疫沈降(ChIP)アッセイ系の検討を行なったが,研究代表者が作製した抗mDomino抗体や市販の抗p400抗体では信頼性の高いChIPアッセイを行なうことが困難であることが分かった。そこで,mDominoに対するモノクローナル抗体を作製した後,ChIPの条件を検討した。G-CSFによる好中球分化にC/EBPγが関与することが示唆されたので,今後,C/EBPγの作用を詳細に解析することが重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
『研究実績の概要』で記したように,計画(1)と(2)はおおむね順調に進展した。しかし計画(3)については,当初予定した抗体ではChIPアッセイが難しいことが判明したので,新たにモノクローナル抗体の作製を行なうことになり,計画を完了できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画(1)と(2)については,『研究実績の概要』で記した成果を踏まえ,それらをさらに発展させた研究をH24年度以降に実施していく計画である。研究計画(3)については,H23年度までに作製した複数のモノクローナル抗体を比較検討し,本格的にChIPアッセイを実施できる見込である。
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