2011 Fiscal Year Annual Research Report
各種熱量測定によるATP加水分解エンタルピーの詳細解析
Publicly Offered Research
Project Area | Water plays a key role in ATP hydrolysis and ATP-driven functions of proteins |
Project/Area Number |
23118707
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
城所 俊一 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (80195320)
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Keywords | 水和 / 加水分解 / 自由エネルギー / 熱測定 / 熱容量 / 部分体積 / 熱膨張係数 / 金属イオン結合 |
Research Abstract |
前年度までに、本研究種目で開発した手法をさらに発展させるとともに、示差走査熱量測定法(DSC)や圧力摂動熱量測定法(PPC)を用いて、加水分解反応に関係するATP,ADP,Pi(無機リン酸)の部分体積とエンタルピーの温度依存性を幅広い温度範囲で評価し,加水分解反応エンタルピー変化を正確に評価するとともに、疎水水和・親水水和の効果に関する定量的な知見を得た。 1.ATP加水分解反応に関係する部分体積・エンタルピーの温度依存性評価 密度測定とpressure perturbation calorimetry、(PPC)とにより溶液中の部分分子体積とその温度依存性を評価する方法を確立し、この方法を用いてATP,ADP,Piについて、pH8.5での部分体積とその温度依存性を評価した。この際に、溶媒に含まれる塩の部分体積の評価を同時に検討した。これらのデータを用い、differential scanningu calorimetry (DSC)測定から、エンタルピーの温度依存性である熱容量の温度依存性を評価した。 2.金属イオンなどの共溶媒共存下でのATP加水分解エンタルピー評価 平成21-22年度に確立したisothermal titration calorimetry (ITC)を用いた方法を用いてみかけの反応エンタルピーを実測し、緩衝液の効果を補正することで「全反応」エンタルピーを評価し、水素イオンや金属イオンとの結合を評価することで「参照反応」のエンタルピーを測定した。ADPとMg2+などの金属イオンとの結合性が低いため、この補正を正確に行うために、ITCの置換滴定法による評価法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の予定通りに実験を進めることができた。一部、想定よりも結合定数が小さく、当初の測定法では測定が困難であることが判明したが、新たな方法を導入することで解決し、ほぼ当初の予定通りの研究成果を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね当初の計画通り実施するが、ATPやADPと金属イオンとの弱い相互作用の影響が無視できないことが明確になったので、置換滴定法を改良して本研究に用いることで当初の計画以上の進展をめざしたい。
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