2011 Fiscal Year Annual Research Report
アクチン重合および重合で活性化されるATP加水分解での水和と水分子の役割
Publicly Offered Research
Project Area | Water plays a key role in ATP hydrolysis and ATP-driven functions of proteins |
Project/Area Number |
23118715
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
若林 健之 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (90011717)
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Keywords | アクチン / アクチンフィラメント / アクチン重合 / ATP分解反応 / 水和 / X線結晶解析 / ハイパーモバイル水 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
アクチンフィラメントは多量のハイパーモバイル水分子の存在が知られている例外的な分子集合体であり、ミオシン頭部(S1)と相互作用する。私達はクライオ電子顕微鏡像から5オングストローム分解能でアクチンフィラメントの立体像を再構成し、原子モデルの構築に成功した(Murakami et al.(2010)Cell,143,275-287)。アクチン重合で活性化されるATPase反応では、2個の水分子が重要な役割を演じる。アクチンの疎水ポケット前半分はミオシンなどのタンパク質との結合部を形成しており、後半分は次に結合するアクチンのDループが結合する。また疎水ポケットの前半分の疎水的側鎖が溶媒に露出する。今回明らかにした構造を踏まえ、ATPaseが変調された変異アクチンや重合能が低下した変異アクチンを利用し水和・脱水和・電場、ATPaseのサイクルにおける水分子の役割を更に明らかにする。アクチン分子の前面下部には、疎水ポケットの入り口があり、ミオシンを初めとするアクチン結合タンパク質の結合部を形成している。重合すると、疎水ポケットの前半分がよりオープンとなり、疎水的側鎖が溶媒に露出する。その意義を更に明らかにするために、疎水ポケットの前半に変異を入れたアクチン分子については、X線結晶学によって水和水を含めた高分解能構造解析を行い、疎水ポケットがアクチン重合とATP分解反応に果たす役割と水分子の関係を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した事柄はほぼ達成できている。当研究室は宇都宮市にある帝京大学の4階にあり、地震のために薬品棚、ガラス器具の棚などが倒れ、瓦礫の始末に約2ヶ月かかったが、それらの遅れは取り戻せている。停電のため失われたタンパク質試料もあるが、幸い液体窒素容器に保存した試料があり、これらを用いて研究を進めてきた。地震によって失われた変異株は幸い保存してあったプラスミッドを再度導入して再確立させた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、変異タンパク質の精製と生化学的性質の決定と結晶化を推進する。既に結晶化に成功した試料もあり、これらについて高分解能X線結晶解析を行い、水和水とアクチン機能との関係を明らかにする。
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