2011 Fiscal Year Annual Research Report
植物の栄養飢餓とオートファジー
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated analysis of strategies for plant survival and growth in response to global environmental changes |
Project/Area Number |
23119503
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石田 宏幸 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (60312625)
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Keywords | 栄養飢餓 / 老化 / 植物 / オートファジー / 葉緑体 |
Research Abstract |
本研究では真核生物に普遍的に備わる細胞自己分解システム「オートファジー」が、植物の栄養飢餓応答に果たす役割についてモデル植物であるシロイヌナズナを中心材料に分子レベルで明らかにすることを目的とした。本年度は特に以下の2項目について成果が得られた。 1)葉の炭水化物量がRCB形成に及ぼす影響の解析 葉における炭水化物量を様々な外的、内的条件で変化させ、それらが小胞RCB(Rubisco-containing body)の形成に及ぼす影響について調べた。外的条件としては糖や無機栄養の添加、また日周期や暗期延長実験を行った。内的条件としてはデンプン代謝関連遺伝子の変異体やRBCSの欠損変異体を単離し、RCB形成の影響について調べた。その結果、オートファジーによるRCBを介した葉緑体タンパク質の分解程度が葉の炭水化物含量と密接に結びついていることが明らかにされた。 2)葉の老化時のRubisco分解におけるRCB経路の貢献度の評価 RBCSと蛍光タンパク質(sGFP,mRFP)の融合タンパク質を発現する形質転換体を用いてRCB経路を定量評価することを試みた。RBCS-GFP(-RFP)は内在RBCS,RBCLと会合しRubisco-GFP(-RFP)を形成した。これらを発現する葉を個別に暗処理し老化誘導すると、蛍光の液胞内への移行が観察された。この際、液胞内ではRubisco-GFP(-RFP)がプロセシングを受けfree-GFP(RFP)を生じることが分かった。このfree-GFP(RFP)はNative-PAGEやSDS-PAGEにより分離・定量が可能であり、これによりRCB経路の定量評価ができることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
葉の炭水化物量がRCB形成に及ぼす影響の解析については論文として2報発表できた。葉の老化時のRubisco分解におけるRCB経路の貢献度の評価についても論文として現在投稿中であり、本課題の目的を達成できる成果がおおむね得られているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
論文発表に至っていない項目、RCB形成に関わる新規遺伝子座の特定やRCB/オートファジーの植物種間差、についても、解析自体は着実に進んでおり、今後も当初計画通りに進めていきたいと考えている。
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[Journal Article] RBCS1A and RBCS3B, two major members within the Arabidopsis RBCS multigene family, function to yield sufficient Rubisco content for leaf photosynthetic capacity2012
Author(s)
Izumi, M., Tsunoda, H., Suzuki, Y., Makino, A., Ishida, H
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Journal Title
J.Exp.Bot.
Volume: 63
Pages: 2159-2170
DOI
Peer Reviewed
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