2011 Fiscal Year Annual Research Report
イネのOsHKT1:4輸送体を介した葉内Na+高蓄積回避による耐塩性機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated analysis of strategies for plant survival and growth in response to global environmental changes |
Project/Area Number |
23119507
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
堀江 智明 信州大学, 繊維学部, 准教授 (90591181)
|
Keywords | イネ / 耐塩性 / Na^+輸送 / HKT |
Research Abstract |
イネの塩抵抗性に必須の役割を担っていると予想されるOsHKT1;4 Na^+輸送体をコードするcDNAを単離した。興味深い事に、ゲノムの配列から予想される500アミノ酸をコードする全長クローンに加えて、選択的スプライシングを受けたと予想される、それぞれ478,453アミノ酸をコードする2種のcDNA種も単離した(以下1;4-ALT1,1;4-ALT2と表記)。塩感受性変異酵母G19株で各cDNAを単独発現させ、塩ストレス下で生育試験を行った所、全長のOsHKT1;4を発現する細胞のみが、Na^+の取り込みを示唆する顕著な生育阻害を示した。G19細胞内で、全長OsHKT1;4と1;4-ALT1、あるいは1;4-ALT2を共発現させた所、OsHKT1;4のNa+輸送活性が変化する可能性が示唆された。ヘテロ多量体形成の可能性が考えられ、現在詳細な解析を進めている。 OsHKT1;4遺伝子内への挿入変異によってタンパク質の機能が破壊されていると推測されるイネ株(oshkt1;4植物)の性格付けを行った。当初、塩ストレス下においてoshkt1;4植物は、野生種に比べ地上部にNa^+を高蓄積する傾向を示したが、その後再現性が安定して得られず、現在も詳細を解析中である。 OsHKT1;5は、OsHKT1;4と協調して機能すると予想される。OsHKT1;5輸送体をコードする遺伝子が破壊されたと推定されるイネ株からホモ破壊株単離を行った。四つの独立したT-DNA挿入変異株候補から、それぞれホモ変異株を取得する事ができた。そのうちの2種類が完全な破壊株で、1種類が発現減少株として以後の実験に利用可能である事が判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アフリカツメガエル卵母細胞を利用した電気生理実験を、共同研究先と行う予定であったが、都合により遅延が生じてしまった。また、oshkt1;4変異イネ株の表現型のデータの再現性が、予想外に得る事ができずそこで時間を大きく費やし、かつそのための回避戦略の移行に必要な時間を浪費してしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
OsHKT1;4遺伝子の発現を人為的に減少させたイネ株を既に作製開始している。形質転換体取得後、それら植物を詳細に性格付けする。また、前年度単離した3つの独立したOsHKT1;5遺伝子破壊株を利用し、OsHKT1,4遺伝子発現減少株を作製する(即ち、OsHKT1;4,OsHKT1;5の双方の機能の欠失イネ株)。これらのイネ株の作製と並行して、酵母、およびアフリカツメガエル卵母細胞を利用した、各OsHKT1;4分子の詳細なイオン輸送特性を明らかにする。蛍光タンパク質を融合した各OsHKT1;4、およびOsHKT1;5キメラタンパク質を植物細胞内で発現させ、それらの局在性を調査する。耐塩性種ノナボクラ、ポッカリからOsHKT1;4cDNAを単離してその構造や機能、およびイネ組織内での発現パターンの違いを調査し、比較する。
|