2011 Fiscal Year Annual Research Report
植物における細胞周期制御とストレス応答のクロストーク
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated analysis of strategies for plant survival and growth in response to global environmental changes |
Project/Area Number |
23119508
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 正樹 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (10242851)
|
Keywords | 植物 / 遺伝子 / 発現制御 / 細胞増殖 / ストレス応答 |
Research Abstract |
(1)環境ストレスによるG2/M期遺伝子の転写抑制機構 ・G2/M期遺伝子の転写制御に関わるR1R2R3-Mybの働きに環境ストレスによる制御を受けている可能性について検討した。シロイヌナズナに5個存在するRIR2R3-Myb遺伝子それぞれの破壊株、また破壊を組み合わせた多重変異株を用いて、各種環境ストレス(塩ストレス、高温ストレス)や、ストレス関連の植物ホルモン(ABA、ジャスモン酸、およびサリチル酸)に対する感受性をテストした。しかし、調べたR1R2R3-Myb変異体では、野生型植物に比べて大きな成長の違いは見られなかった。一方で、R1R2R3-Mybに構造がよく似たR2R3-Mybのサブクラスについて同様に遺伝子破壊株を調べた結果、ABAの発芽抑制効果に対して超感受性を示すことがわかった。 ・ジャスモン酸がG2/M期遺伝子の発現を低下させる効果があるかどうかを調べるために、G2/M期制御に関連する複数の変異体を用いて、ジャスモン酸処理を行い、異常が促進されるかどうか解析した。予備的な実験から、G2/M期遺伝子の転写活性化に関わる2つのMyb遺伝子に変異を持つmyb3r1 myb3r4二重変異体の示す異常が、ジャスモン酸処理により促進されることが示唆された。 (2)R1R2R3-Mvbによるストレス抵抗性獲得機構 ・R1R2R3-Mybの過剰発現体におけるストレス抵抗性が野生型に比べて変化しているかどうかを解析した。しかし、RPS5AやCDKA;1遺伝子のプロモーターを使った過剰発現株では、野生型に比べて大きな違いは見られなかった。今後、35Sプロモーターを用いた過剰発現体についても解析を行う。 ・R1R2R3-Mybが直接制御する標的遺伝子を同定するため、chIP法による解析を試みた。R1R2R3-Mybの1つであるMYB3R3に関しては、これまでに想定していた標的遺伝子との結合が確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R1R2R3-Mybの変異体や過剰発現体では、想定していたような環境ストレスに対する超感受性を示さないことがわかった。このため、さらに広範囲の環境ストレスやストレス関連の植物ホルモンに対する感受性をテストすることが必要になった。しかし、R1R2R2-MybのChIP解析の予備実験は成功しており、今後の進展が期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
R1R2R3-Mybの変異体や過剰発現体には想定していたようなストレス超感受性が見られなかったため、今後はさらに広範囲の環境ストレスに対する感受性を調べるほか、R1R2R3-Mybがストレス関連遺伝子の転写を直接制御している可能性について検討する。また、RIR2R3-Mybに加え、G2/M期特異的遺伝子の発現を制御する新奇タンパク質GIG1を最近同定した。GIG1はAPCユビキチンリガーゼ複合体を負に制御することによりG2/M期特異的タンパク質の分解を抑制する働きをもつ。GIG1の変異体や過剰発現体におけるストレス感受性の解析や、GIG1が制御するAPCの基質の同定などを行う。
|
Research Products
(8 results)