2011 Fiscal Year Annual Research Report
根の形態変化を介した植物の成長戦略
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated analysis of strategies for plant survival and growth in response to global environmental changes |
Project/Area Number |
23119511
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青山 卓史 京都大学, 化学研究所, 教授 (80202498)
|
Keywords | 植物 / 組織・細胞 / 生体分子 / 環境 / 根 |
Research Abstract |
シロイヌナズナのPIP5K遺伝子群の中でPIP5K3およびPIP5K4はプロモーター領域にリン酸欠乏応答に関与する転写因子PHR1の認識配列をもっており、リン酸欠乏条件下において転写レベルで発現上昇することが明らかになった。そこで、両遺伝子の二重欠損変異体株pip5k3pip5k4に対して、PHR1の認識配列に変異を有しリン酸欠乏応答が起こらない人工改変遺伝子pip5k3pmおよびpip5k4pmを導入することにより、リン酸欠乏条件下でのみ根毛伸長促進に欠陥をもつ二重部分相補体の作製を行なった。作製された二重部分相補体株pip5k3pip5k4/pip5k3pmpip5k4pmでは、通常条件下では野生型株と同様の根毛伸長を示すが、幼苗のリン酸欠乏下での根毛伸長促進は起こらないことが確かめられた。この実験結果から、シロイヌナズナ幼苗でのリン酸欠乏応答性の根毛伸長促進は専らPHR1を介したPIP5K3およびPIP5K4の転写活性化によってなされていることが示された。 上記で作製されたリン酸欠乏応答性の根毛伸長促進に欠陥をもつ二重部分相補体株pip5k3pip5k4/pip5k3pmpip5k4pmを用いて、様々なリン酸欠乏条件に対する植物体の感受性を調べた。その結果、二重部分相補体の幼苗は、可溶性リン酸の濃度を減少させた場合には野生型と同様の生育障害を示すことが判った。この結果は、根毛の伸長促進は低濃度の可溶性リン酸の吸収に対しては有利に働いていないことを示すものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析に必要な形質転換植物などが整いつつある。それらを用いた予備的な解析結果も得られており、おおむね順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに作成された形質転換植物および入手した変異体を用いた解析を行う。リン酸欠乏応答における根毛伸長に関しては早期に研究結果をまとめる。また、根冠における環境シグナルの伝達機構に関しても研究を進める。
|
Research Products
(8 results)