2011 Fiscal Year Annual Research Report
耐塩性シロイヌナズナが有する塩馴化機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated analysis of strategies for plant survival and growth in response to global environmental changes |
Project/Area Number |
23119518
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
太治 輝昭 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (60360583)
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Keywords | ナチュラルバリエーション / 耐塩性 / QTL / GWAS |
Research Abstract |
350種のシロイヌナズナaccessionsを用いた耐塩性評価により、耐塩性に優れるaccessionsは、生育に影響を与えない程度の塩ストレスを一定期間経ることで、海水程度の塩水(浸透圧)にも耐性を示す、「塩馴化能」が優れていること、さらにこの塩馴化能が1遺伝子座により制御されていることを明らかにしてきた。本年度は、この遺伝子座の同定を目的として、genome-wide association study(GWAS)を行った。具体的には、206 accessionsの塩馴化能を評価し、250,000SNPsデータを用いたGWAS解析を行った(USDA.ARS 米国農務省植物栄養部門 Owen Hoekenga主任研究員との共同研究)。その結果、塩馴化に寄与する可能性のある複数SNPsを特定した。 さらに、塩馴化能を有するZu-Oにイオンビームを照射して突然変異を誘導した種子を作成し、40000粒のM2種子(2000粒のM1種子由来)を用いてスクリーニングを行った。その過程で、1つの塩高感受性を単離した。遺伝学的解析の結果、原因遺伝子が耐塩性必須遺伝子、SOS1(Na^+/H^+ antiporter)であることを明らかにした。この変異株の耐塩性は極めて損なわれているものの、塩馴化試験(弱い塩ストレスに一定期間曝した後、高浸透圧ストレスを施す試験)においては、塩馴化能欠損accessionであるCol-0を超えた高い耐性を示すことから、塩馴化能の重要性を遺伝学的に示すことが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに遺伝学的な解析により、塩馴化能を制御する遺伝子座の領域を絞り込んできた。本年度行ったGWASは、この領域から、原因となりうるアミノ酸置換を誘導する候補SNPsを絞り込むための解析であり、非常に明確な結果を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
耐塩性シロイヌナズナが有する塩馴化能の解析については、得られた候補SNPsを有する遺伝子群を、塩馴化能が欠失したaccessionsに導入することで、原因遺伝子の特定が期待される。しかしながらGWASで用いた250,000SNPsは、実験系統であるCol-0とLerのSNPsを中心に作られたものであり、Col-0と塩馴化能を有する耐塩性accessions間にはさらに多くのSNPsの存在が考えられる。今後は早急に塩馴化能を有する耐塩性accession由来のBACクローンを作成し、もれなく塩馴化能を説明するSNPsを特定する必要がある。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Analyses of leaves from open field-grown transgenic poplars overexpressing xyloglucanase2012
Author(s)
Kaku T, Baba K, Taniguchi T, Kurita M, Konagaya K, Ishii K, Kondo T, Serada S, Iizuka H, Kaida R, Taji T, Sakata Y, Hayashi T
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Journal Title
J Wood Sci
Volume: (In press)(未定)
Peer Reviewed
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[Presentation] 耐塩性シロイヌナズナが有する塩馴化機構の解明2012
Author(s)
太治輝昭, 香取拓, 有賀裕剛, 井内聖, 小林正智, 篠崎一雄, 吉原亮平, 野澤樹, 長谷純宏, 鳴海一成, 坂田洋一, 林隆久
Organizer
日本植物生理学会
Place of Presentation
京都(招待講演)
Year and Date
2012-03-16
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[Presentation] 耐塩性Arabidopsis thaliana Zu-0 のSOS1変異株より明らかとなった耐塩性における塩馴化能の重要性2011
Author(s)
有賀裕剛, 香取拓, 吉原亮平, 野澤樹, 長谷純宏, 鳴海一成, 井内聖, 小林正智, 坂田洋一, 林隆久, 太治輝昭
Organizer
日本植物細胞分子生物学会
Place of Presentation
福岡
Year and Date
2011-09-06
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