2011 Fiscal Year Annual Research Report
土壌微生物由来の新規シグナル因子による植物生長制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated analysis of strategies for plant survival and growth in response to global environmental changes |
Project/Area Number |
23119519
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Research Institution | Suntory Foundation for Life Sciences |
Principal Investigator |
村田 純 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所, 研究員 (90500794)
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Keywords | 植物-微生物相互作用 / 植物生長 / 天然物有機化学 |
Research Abstract |
【研究目的】植物が遭遇する生物種の種類は、地上部と比較して根圏において格段に多いにも関わらず、根粒菌や菌根菌などのごく限られた例を除き、大部分の土壌微生物と植物との相関関係については未解明である。一方で、植物の生育に影響を与えるとされる微生物(PGPR)が多数見いだされているが、その作用物質は殆ど明らかにされておらず、現象論に留まっている。本研究では、植物生長を制御する揮発性の微生物由来物質(volatile plant regulators ; VPRs)を同定し、植物側の感知機構を解明することで、新規な植物生長制御機構の解明を目指した。 【研究成果】1)VPRsによる植物生長制御の一般性の検討 大腸菌、枯草菌、アグロバクテリウムなどの種々の土壌微生物由来の揮発性物質が、シロイヌナズナ、イネ、ニチニチソウなどの単子葉、双子葉にまたがる植物種の生長を制御することを見いだした。 2)VPRsの粗抽出、および部分精製に成功 まず植物生長抑制活性に着目し、枯草菌の当該活性の粗抽出方法、および種々の担体を用いた部分精製方法を確立した。これにより、VPRsの同定および構造決定に向けた大量精製に一定の目処がたった。またGC-MS解析により、部分精製した枯草菌揮発成分から複数の既知、未知の活性候補物質を得た。 3)VPRsに低感受性を示すシロイヌナズナ変異株を複数取得 枯草菌VPRsにより、野生株が速やかに枯死する条件でも枯死しにくいシロイヌナズナ変異株を複数単離した。変異導入部位のマッピングにより決定される当該遺伝子は、VPRs感知に関わる新規な植物因子であると期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
枯草菌由来の抽出液から植物生長を制御する当該活性を検出し、またVPRの部分精製に成功したことで、活性因子の同定に向けて一定の技術的目処がたった。加えて、GC-MS解析により複数の候補因子を同定した。一方、VPRに低感受性の植物変異株を取得し、植物側のVPR受容・応答機構の解明のための有効な実験材料を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
植物変異株の原因遺伝子の同定を外部委託することで、研究期間の短縮を図る予定。また平成23年度の結果より、VPR精製をスケールアップするための具体的な方策を立てることが可能となった。研究資金をオープンカラムやセミ分取カラムなどの購入に重点配分する予定。
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Research Products
(1 results)