2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストン修飾を介した植物の乾燥ストレス適応機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated analysis of strategies for plant survival and growth in response to global environmental changes |
Project/Area Number |
23119522
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
関 原明 独立行政法人理化学研究所, 植物ゲノム発現研究チーム, チームリーダー (80281624)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 植物 / 環境ストレス / ヒストン修飾 / エピジェネティック制御 / 酢酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物には移動の自由がないため、様々な環境ストレス変化に対して適応する機構を備えている。近年の研究から、このシステムにはヒストン修飾を介したクロマチンリモデリングによる転写(後)制御機構が関与する事が示唆されてきている。これまでに本申請代表者らは、シロイヌナズナヒストン脱アセチル化酵素HDA6の変異株が乾燥ストレスに対して耐性を示すことを見出している。 本研究では、HDA6の乾燥ストレス耐性における機能の解明を目指して研究を進め、以下の新規な知見を得た。1)シロイヌナズナhda6変異株を用いた表現型解析から、この変異株が強い乾燥耐性を示すことを見いだした。2) hda6変異株を用いた乾燥ストレス条件下でのマイクロアレイ解析から、乾燥ストレス応答時に酢酸発酵経路の遺伝子が強く発現し、内在性の酢酸量が高度に蓄積していることがわかった。3) クロマチン免疫沈降実験の結果等から、シロイヌナズナの乾燥耐性付与には、HDA6によって制御される酢酸発酵経路の活性化が必須であることがわかった。4) 酢酸の直接投与による植物の乾燥耐性付与実験を行ったところ、比較的高濃度の酢酸を投与したシロイヌナズナで、乾燥耐性を示すことがわかった。 これまでの研究により、酢酸合成経路は植物の環境ストレス耐性に関与する主要な代謝パスウェイの一つであり、エピジェネティックな因子によって直接的に制御されていることを明らかにした。また、“酢酸”という代謝産物が、植物が環境変動を乗り越え生存(環境突破)するために機能する事を初めて明らかにした。酢酸の効果を利用した乾燥ストレス耐性植物の作出や、乾燥耐性付与法の開発につながり、低コストによる劣悪環境からの突破力の獲得が期待できる。
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Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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