2011 Fiscal Year Annual Research Report
社会的情報を含めた「顔」の記憶の神経機構
Publicly Offered Research
Project Area | Clarification of the mechanism of face recognition by interdisciplinary research |
Project/Area Number |
23119714
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
辻本 悟史 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20539241)
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Keywords | 顔認知 / 再認記憶 / MEG / 脳磁図 / 社会認知 / 側頭皮質 / 前頭前野 |
Research Abstract |
本研究の目的は、社会的情報を含む人物の象徴としての「顔」の記憶の神経機構を明らかにすることにある。私たちが日ごろ他の人の顔を覚える際には、単なる視覚情報として記憶するのではなく、その人物に関する自伝的あるいは社会的な情報とともになされることが多い。しかし、そのような記憶が脳内のどこでどのように実現されているのか明らかではない。この過程を調べるために、新規の顔画像を144名分作成し、その顔を社会的情報とともに記憶する際の脳活動変化を脳磁図(MEG)を用いて解析した。その結果、前頭葉から、側頭皮質の前方部を経て、後頭側頭皮質へと、情報処理が時間にとともに移っていく様子が観察された。新規に人の顔を記憶する際の脳内メカニズムの一端、特に、神経ダイナミクスについて、新たな知見を提供するものとして重要な成果と考えられる。 以上の成果を踏まえて、さらに、社会的情報からイメージされる顔と、実際に呈示された顔とのギャップ(誤差)に着目して研究を進展させることを目指し、顔情報と一致する情報としない情報をそれぞれ300組ずつ作成するという作業を行った。この刺激の妥当性を確認するために、現在、皮膚電気活動計測を用いた検証を進めている。 今後、この手順によって作成した刺激を用いて、脳活動レベルの実験を行うことで、ヒトの社会適応に必要な脳内メカニズムの一端の解明、ひいては、発達支援等への応用への示唆が得られるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験に使う刺激の準備に際して、被験者の主観的な報告だけでなく、皮膚電気活動による生理学的な指標を加えたため、当初の計画よりも多少の時間がかかっている。これによって、より適切な刺激を作成でき、最終的な目標の達成につながるものと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
刺激作成に多少の時間がかかったものの、大きな変更は必要ないと考えている。これまでに作成した刺激を用いて、平成24年度にMEGによる実験を行い、その結果を解析、総括する。
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