2011 Fiscal Year Annual Research Report
前駆期統合失調症における表情認知・表出能力障害の疾患特異性に関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | Clarification of the mechanism of face recognition by interdisciplinary research |
Project/Area Number |
23119716
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
土居 裕和 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40437827)
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Keywords | アスペルガー症候群 / 統合失調症 / サブクリニカル / 遺伝子多型 / 顔認知 / 大域的処理 |
Research Abstract |
近年、自閉症スペクトラム障害もしくは統合失調症の診断基準に達していないが、これらの疾患の臨床的症状を強く示す"サブクリニカル"水準の健常者に対する早期介入の必要性が議論されている。両疾患の患者は、顔をはじめとした社会的刺激に対して、健常者とは異なる特異的な反応を示すことが明らかにされている。これを踏まえると、自閉症スペクトラム障害、統合失調症様症状を強く示すサブクリニカル群の健常者も、顔刺激に対し、患者と類似した反応を示すことが予想される。しかし、この点に関しての実証的検討はほとんど行われておらず、顔認知の個人差を生じる生物学的基盤についての知見も確立されているとは言い難い。 そこで、今年度は、サブクリニカル群における自閉症スペクトラム・統合失調症様症状の客観的指標となる生物学的・行動学的マーカーの探索的解明を目的として、健常者の大規模集団を対象に、(1)自閉症・統合失調症様症状評価、(2)顔認知能力計測、(3)唾液中ホルモン計測、(4)遺伝子多型計測を実施した。その結果、統合失調症の遺伝的素因の一つと考えられている一塩基多型が、成人の顔認知を特徴づける大域的処理能力の個人差に関連するとの新規知見を得た。同様に、統合失調症との関連が指摘される胎児期男性ホルモン暴露量の指標となる2D:4D Digit Ratioが、大域的処理能力の独立した予測因子となることを見出した。 一方、疾患群を対象とした研究では、長崎市内の病院・福祉施設において、統合失調症患者・アスペルガー症候群患者の研究参加者募集を行い、一部の被験者を対象にしたデータ収集を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に示した通り、現在、統合失調症・アスペルガー症候群患者を対象とした行動データ収集を開始しており、当初計画通りに進行している。加えて、サブクリニカル群を対象に、顔認知能力の個人差に関連した生物学的因子を解明しつつある点からも、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、実験を実施している行動データ収集を推進し、目標のサンプル数を確保する予定である。また、研究協力者の一部を対象に、高密度脳波計を用いた脳機能計測を実施する。さらに、本年度収集した行動データ、生物学的マーカー、および表情表出時の顔画像データを統合して気にモデル化することで、アスペルガー症候群・統合失調症自動診断技術のプロトタイプを作成する。
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