2011 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症幼児の顔認知による早期アセスメントと早期発達支援
Publicly Offered Research
Project Area | Clarification of the mechanism of face recognition by interdisciplinary research |
Project/Area Number |
23119718
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山本 淳一 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (60202389)
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Keywords | 表情認知 / 自閉症 / ウイリアムズ障害 / 異種感覚間マッチング / 視線追跡 / アセスメント / 発達支援 / 情動 |
Research Abstract |
自閉症乳幼児の顔認知の特徴と発達上の変化を、発達指標、自閉症重症度指標、社会行動指標、視線追跡指標(TOBII)を用いて、定型発達児、他の障害児と比較して明らかにした。これらの基礎データをもとに、顔・表情認知機能にもとづく客観的な早期アセスメント指標を開発し、社会性の発達促進に効果的な「顔・表情認知発達支援エキスパートシステム」を構築した。 自閉症児と定型発達児との間で、表情静止画を見る時間の長さを比較した。その結果、大きな差は見られなかったが、自閉症重症度が重いと、怒り顔に対する注視時間が短かった。このことは、表情を見る反応は、表情刺激が喚起する情動反応と関係していることを示しており、各表情別の評価が必要であることを示唆している。自閉症児とウイリアムズ障害児との間で、表情認識の差の検討を行った。その結果、「同一人の同じ表情のマッチング」、「異なった人の同じ表情のマッチング」については、いずれの障害でも高い正反応率を示したが、「感情プロソディと表情との感覚間マッチング」においては、自閉症児の正反応率は低かった。このことは、自閉症児の表情認識の困難性は、社会的剃激に含まれる「異なった感覚間の統合」の困難を基礎とすることが示している。定型発達児では、6か月児では、表情刺激への定位反応は拡散的であったが、12か月児では口への注視時間が長くなる傾向が見られた。今後、発達と障害の間の交互作用の検討の必要性が示唆された。自閉症児について、表情刺激、社会的刺激に枠や指さしなどの視覚プロンプトを導入することで、視線定位を誘導できることが示され、視線反応には可塑性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自閉症児と定型発達児、他の瞳害をもつ子どもとの比較によって、表情認知の特徴が明らかになり、早期アセスメントの方法が示唆された。また、表情刺激間、表情刺激内の反応の差が検出できた。表情刺激、社会的刺激に、枠や指さしなどの視覚プロンプトを導入することで、視線定位を誘導できることが示唆され、次年度の発達支援研究へとつながる成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は、研究参加した幼児の月齢が高かったので、平成24年度は、より年少の自閉症幼児を対象とした研究を進める。
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Research Products
(6 results)