2011 Fiscal Year Annual Research Report
顔認知コミュニケーションの神経基盤の臨床神経心理学的検討
Publicly Offered Research
Project Area | Clarification of the mechanism of face recognition by interdisciplinary research |
Project/Area Number |
23119720
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
河村 満 昭和大学, 医学部, 教授 (20161375)
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Keywords | 相貌失認 / 剖検 / 心の理論 / パーキンソン病 / 筋強直性ジストロフィー |
Research Abstract |
本研究の目的は顔を介したコミュニケーション能力の神経基盤を解明するため、認知症やパーキンソン病、筋強直性ジストロフィーなどの脳病変例を対象として顔認知障害の病態解明とその神経基盤を探ることである。今年度は、パーキンソン病における心理推測過程について、情動的な心理推測過程に関する検討を行った。検討には「まなざし課題」と呼ばれる課題を用いた。この課題では、視線から他者がどのような心的状態にあるかを推測する。結果として、パーキンソン病例では健常者に比べ、まなざし課題における成績低下がみられた。この結果について国際誌に公表を行った。また、同様の検討を、筋強直性ジストロフィーにおいても行った。検討の結果、筋強直性ジストロフィーでは、視線からの心の読取のほか、言語的文脈から心理を推測することも困難であり、両者の課題の成績間には相関がみられた。これは、同症例において他者の心理状態を推測する機能が低下しており、その機能不全が言語・非言語の両面に広がっていることを示唆するものと考えられた。また、本疾患では視線からの心理状態の読取と、全般性認知機能検査との相関がられたことから、何らかの認知機能低下が心理推測機能に影響していることが考えられた。この内容は、国際誌に公表された。 また、相貌認知機能について左右半球の関与に関する検討を行うため、顔弁別が困難となる相貌失認症例を対象として症候の解析および剖検による病巣の精密な特定を行った。結果として、右紡錘状回が相貌失認の発生に強く寄与することが示され、この内容を国際誌に公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目標の一つである顔認知障害の評価について、国内外に公表する段階に至っている他、共同注意に関する実験や機能イメージングに関する検討は今のところ論文での公表には至っていないが、データの取得から学会発表といった段階に進んでおり、継続的な結果を出せることが期待できるため
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Strategy for Future Research Activity |
顔認知に関する脳機能イメージングや、共同注意に関するデータの整理、および統計的分析などを含めて総合的な考察を進めていき、国内外での結果の公表を行なっていく。
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