2011 Fiscal Year Annual Research Report
他者の存在が自己顔認知へ与える影響に関する神経基盤
Publicly Offered Research
Project Area | Clarification of the mechanism of face recognition by interdisciplinary research |
Project/Area Number |
23119725
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
守田 知代 生理学研究所, 統合生理研究系, 特任助教 (60543402)
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Keywords | 自己認知 / 自己意識情動 / fMRI / 島皮質 |
Research Abstract |
ヒトは自身の顔や姿など自己像のフィードバックを与えられると、ネガティブな情動(恥ずかしさ)を経験することがあるが、これは自己に対する意識の高まりと関係する自己意識情動のひとつとされている。この自己意識情動の経験に応じた脳活動を明らかにすることを目的とした。これまでの研究により、自己顔認知に伴う情動処理には島皮質や前部帯状回が関与することを示唆する結果が得られているものの、これらの領域が果たす役割が特定されているわけではない。そこで「他者に見られる効果」を導入することで、自己顔によって惹起される恥ずかしさ情動を操作し、それに応じた島皮質や前部帯状回の活動変化を調べた。脳活動計測には二個体同時計測が可能なMRI(dual MRI)を用いた。互いに知らない2人の被験者がペアとなり実験に参加してもらった。モニターを介してお互いに相手被験者に観察される状況、および観察されない状況を設けた。これらの状況下で、被験者自身、相手、あるいは第三者の顔写真をランダムな順序で呈示し、被験者にはそれらの写真を見て感じる恥ずかしさの強度を評価するよう求めた。行動レベルでは、相手による観察されている状況では自己顔への恥ずかしさが増大することが確認された。脳活動レベルでは、観察されない状況に比べて、観察される状況では自己顔に対する右側島皮質および前部帯状回の活動が高まることが示された。さらに、観察による右側島皮質の活動増大は、恥ずかしさの増大と正の相関を示していた。これらの結果から、特に右側島皮質は、自己顔処理に伴うネガティブ情動の経験に密接に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた平成23年度分の計画を実施したところであり、順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
近年、脳機能イメージング分野において、領域間の機能結合をみることでネットワークとして機能を捉えようとする動きがある。本研究においても、島皮質および前部帯状回と、その他の脳領域との機能結合を明らかにするために、新たに領域間結合解析を実施する予定である。
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Research Products
(5 results)