2011 Fiscal Year Annual Research Report
側頭葉の階層的な情報処理のメカニズムと顔認知における役割
Publicly Offered Research
Project Area | Clarification of the mechanism of face recognition by interdisciplinary research |
Project/Area Number |
23119732
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
菅生 康子 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (40357257)
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Keywords | 霊長類 / ニューロン活動 / 情報量解析 / サッチャー錯視 |
Research Abstract |
マカクサル下側頭皮質には顔画像の呈示に対して応答を示す顔応答性ニューロンあることが知られている。我々はこれまでの研究で、顔を視覚刺激として呈示すると、サル側頭葉の顔応答性ニューロンが、その初期応答ではヒトかサルかというおおまかな分類情報に対応した反応を、後期応答では個体や表情など詳細な分類情報に対応した反応を示すことを明らかにしてきた。本研究は、このような側頭葉の顔応答性ニューロンにみられる情報の時間的処理過程(temporal processing stage)のメカニズムと顔の認知に果たす役割を明らかにすることを目的とする。 顔の詳細な分類情報の一つである個体識別は、顔の部分特徴の検出とその組み合わせによる布置情報の把握に依存していると考えられる。顔の布置情報が顔倒立呈示によって認知されにくくなる現象はサッチャー錯視として知られており、最近サルでもサッチャー錯視が起こることが報告されている。そこで、布置情報の認知度と顔応答性ニューロンの反応の関係を調べるため、複数のヒトとサルの個体と表情からなる顔画像のセットを用い、正常顔画像およびサッチャー顔画像を正立あるいは倒立の状態で400ミリ秒間呈示し、注視課題を遂行中のアカゲザルの下側頭皮質からニューロン活動を記録した。顔を倒立呈示すると、一過性の初期応答と後期応答の両方に影響を与えるが、後期応答が関連する詳細分類情報の量がより低下することが分かった。この結果から、顔の部分特徴の組み合わせから計算される布置情報の把握には時間を要し、そのため、時間的に遅い後期応答に大きな効果が観察されたことが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調にデータの収集を行っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き神経活動の記録実験を行い、2頭の実験動物より十分な量のデータを収集する。
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Research Products
(1 results)