2011 Fiscal Year Annual Research Report
低温シグナル伝達因子ICE1の活性化に関わる分子機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Environmental sensing of plants: Signal perception, processing and cellular responses |
Project/Area Number |
23120503
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三浦 謙治 筑波大学, 生命環境系, 助教 (00507949)
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Keywords | 転写因子ICE1 / MYC型転写因子 / 低温シグナル伝達 / 低温応答 / ICE1過剰発現 / 抗酸化物質 |
Research Abstract |
1、ICE1相互作用因子を酵母2ハイブリッドスクリーニングにより単離した。その中に、転写因子MYC67,70,71が含まれていた。そこで、これらのMYCタンパク質の過剰発現体及び変異株を作製して、低温耐性及び低温応答性遺伝子の発現を調べた。これらの変異株では低温耐性が上昇し、低温応答性遺伝子の発現が上昇することが明らかとなった。逆に過剰発現体では低温感受性を示し、遺伝子発現の減少が見られたことから、MYC67,70,71転写因子は低温シグナル及び低温耐性を負に調節していることが示された。これらMYC転写因子がDREB1Aのプロモーター領域に結合することをChIP(クロマチン免疫沈降)アッセイにより明らかにした。詳細な結合部位を調べるため、MYC67及びMYC70に関してEMSA(電気泳動移動度シフト解析)を行ったところ、MYC67及びMYC70はDREB1Aプロモーター上に存在するMYC認識部位(CANNTG)を認識することが明らかとなった。この部位はICE1も結合することが知られていることから、MYC67,70はMYC認識部位においてICE1と結合し、ICE1の機能を:負に調節しているものと考えられる。 2、ICE1の機能的保存性を明らかにする目的で、トマトからICE1を単離して、過剰発現トマトを作製した。ICE1過剰発現トマトでは低温に対する耐性が上昇し、低温応答1生遺伝子の発現も上昇した。更に低温応答で誘導されるビタミンC、リコピン、βカロテン等の抗酸化物質の蓄積もICE1過剰発現トマトでは、通常状態においても蓄積が上昇することが明らかとなった。また、メタボローム解析を行ったところ、糖やアミノ酸の蓄積上昇が見られた。これらのことから、トマトにおいてもICE1は低温耐性に関わること、また抗酸化物質の蓄積に関与することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ICE1相互作用因子としてMYC型転写因子MYC67,70,71及びMAPキナーゼの解析をあげているが、MYC型転写因子に関しては、DREB1Aとの結合を明らかにし、生化学的な研究に関してデータが揃ってきている。最終的に詰めの実験が必要であるが、論文化にできるまでにデータが蓄積してきたことから、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、MYC型転写因子に関してはEMSAアッセイにおいて、competitionアッセイを行い、実際に結合していることを明らかにする。また、タンパク質の作製に至っていないMYC71に関しては、他の方法でタンパク質を作製してEMSAアッセイを行う。MAPキナーゼに関しては、変異株の単離をしており、変異株における低温応答について調べる。また、このキナーゼが実際にICE1のリン酸化に関わっているかをin vitroアッセイを行う。
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