2011 Fiscal Year Annual Research Report
植物ミトコンドリアのカルシウム知覚と動態のライブイメージング解析
Publicly Offered Research
Project Area | Environmental sensing of plants: Signal perception, processing and cellular responses |
Project/Area Number |
23120507
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
有村 慎一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (00396938)
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Keywords | カメレオン / FRET / 植物ミトコンドリア / ミトコンドリア分裂 / ミトコンドリア融合 |
Research Abstract |
1.「ミトコンドリア形態の環境応答」:我々は、これまでミトコンドリアの形態が異常になる突然変異体を多数同定してきた。ミトコンドリアが細胞の中で偏在する突然変異体、並びにミトコンドリア分裂が阻害される突然変異体に於いて、表現型が不安定なものを取り上げ、その環境と表現型の間の関係を検討した。複数の突然変異体に於いて環境変化に応じて顕著にその表現型が変化することを見いだすことができた。このことは、これらの突然変異遺伝子が、環境に応答したミトコンドリアの分布や動態の細胞内適応に寄与していることを示唆している。原因遺伝子の解明と共に現在さらなる詳細解析を行っている。 2.「カルシウム濃度変化とミトコンドリア動態のライブイメージング」:細胞質カルシウム濃度変化を可視化するために、FRETタンパク質カメレオンYC3.60を恒常的に発現するシロイヌナズナを作製した。本年度はこれをイメージングするための、共焦点レーザー顕微鏡、並びに蛍光顕微鏡:DualView:冷却CCDカメラという二つの方式で実際に細胞質カルシウム濃度変化の画像取得に成功した。 3.「MIRO EF-hand変異のミトコンドリア動態への影響」:MIROはC末端の疎水性領域によってミトコンドリア外膜に存在し、N末端側を含むタンパク質の大部分を細胞質側へ露出している。この細胞質側に二つのRho-likeなGTPaseドメインと、これに挟まれた二つのEF-hand(カルシウム結合、構造変化ドメイン)を持つ。本年度はこのEF-handそれぞれ、または両方にカルシウム非結合型点変異を導入した発現コンストラクトを作製した。タバコ緑葉を用いた一過的発現を用いて現在その影響を解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度において、すでに植物ミトコンドリアの動態と細胞質カルシウムの濃度変化を同時に可視化する植物、並びにその検出顕微鏡システム二種類をセットアップし、稼働するところまでこぎ着けた。また、他方のミトコンドリアの形態突然変異体の準備と解析も進んでおり、次年度はじめに検証可能な状態にあり、想定以上の順調な進展をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
1の突然変異体の解析から二つの環境変化に応答するミトコンドリア分配や動態変化の存在とそれに関わる遺伝子の候補がリストアップされたので、これらの機能解析に進む。2のイメージングも基礎が立ち上がったので、本来の目的であるミトコンドリア動態との二重可視化とその解析にすすみたい。3についても材料が揃い一過的予備実験が完了したため、本実験、さらに形質転換体を作成し定量的なデータ取得と解析に進む予定である。
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Research Products
(5 results)