2011 Fiscal Year Annual Research Report
フラビン結合光センサードメインを鋳型とした酸化還元状態感受性蛍光タンパク質の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Environmental sensing of plants: Signal perception, processing and cellular responses |
Project/Area Number |
23120513
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩田 達也 名古屋工業大学, 工学研究科, テニュア・トラック助教 (20569917)
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Keywords | 植物 / 可視化 / タンパク質 / 生物・生体工学 / バイオテクノロジー / フラビン / 酸化還元状態 |
Research Abstract |
葉緑体やミトコンドリアにおいてはエネルギーと還元力の生産を行うため、光環境やストレスなどの外界の環境によってその酸化還元状態が変化すると考えられる。本研究の目的は細胞内(細胞小器官内)酸化還元状態に応答して蛍光強度が可逆的に変化する蛍光タンパク質を開発することである。平成23年度は、フラビンタンパク質を発現させた大腸菌体を用いてスクリーニングを行う系の確立を目指した。シロイヌナズナフォトトロピンのLOV2ドメインのC426A変異体(LOV(C/A))を用いて、このタンパク質を発現させた大腸菌を菌体のまま蛍光が観測できるかどうか調べた。LOV(C/A)を発現させた大腸菌懸濁液を蛍光分光光度計にて測定を行ったところ、LOV(C/A)に由来する蛍光を観測することができた。 これは、LOV(C/A)を発現していない大腸菌内在性のフラビンタンパク質の蛍光スペクトルとは強度、形の点で区別された。また、LOV(C/A)は大腸菌内で光依存的に還元された。これは、大腸菌体内の還元的雰囲気下に応答して光依存的に還元されたのであり、LOV(C/A)が酸化還元応答性蛍光タンパク質として機能しうることを示唆する結果を得た。次に、LOV(C/A)遺伝子を鋳型としてランダム変異導入法を試みた。作製した変異(候補)プラスミドを7個選んでシーケンスを行ったところ、変異塩基は4-12箇所(アミノ酸にして1-8箇所)導入されることがわかった。これらの候補のうち約50候補の性質を調べ、LOV(C/A)より光還元の速度が速い変異体を見つけることが出来た。 LOV以外のフラビン結合光受容体を鋳型として酸化還元状態感受性蛍光タンパク質に変換できる可能を検討するため、光還元反応と損傷DNAの修復過程の分子メカニズムの解明に向けたFTIR分光法による構造解析を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、蛍光タンパク質の大腸菌体内でのスクリーニング系とフラビン結合をコードする遺伝子へのランダム変異導入を目指した研究を行い、実際に達成することが出来た。またDNA光回復酵素の光反応のFTIR分光法による研究を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は酸化還元応答性蛍光タンパク質の鋳型として、LOVドメイン以外にBLUFドメインやクリプトクロム/DNA光回復酵素ファミリータンパク質を用いて変異導入による作製を試みる。また、実際にスクリーニングを行ったフラビンタンパク質変異体に対して、実際に植物細胞や植物体にて発現を行い、その蛍光の挙動を観測する。 また、BLUFドメイン自身の光反応の性質を調べることで、蛍光タンパク質の適性について調べたいと考えている。
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