2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞核ダイナミクス解析に基づいた植物細胞の環境感覚システムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Environmental sensing of plants: Signal perception, processing and cellular responses |
Project/Area Number |
23120518
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松永 幸大 東京理科大学, 理工学部, 准教授 (40323448)
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Keywords | 核 / 体積 / 核内倍加 / イメージング |
Research Abstract |
植物培養細胞とシロイヌナズナの細胞核を可視化した蛍光イメージングラインを用いて、細胞核の体積、円形度、核相、XYZ座標などの定量的パラメーターを収集した。また、光や環境ストレスを加えた時に、時間軸に沿って細胞核が変化するパラメーターをイメージング解析により収集した。特に核内倍加や細胞体積変動の関連に注目した。さらに、パラメーターを左右する細胞内構造やオルガネラを特定するために、阻害剤実験や変異体解析さらには、光学的細胞操作技術を用いて細胞核ダイナミクスの制御機構を明らかにすることを目的として実験を行った。 植物のストレスであるオーキシン飢餓やDNA損傷は、モデル植物であるシロイヌナズナにおいて、細胞体積を増加させると同時にDNA量を倍加させることがわかった。しかしながら、同時に起こる2つの応答現象がストレス反応の中でどのように寄与しているかは、わかっていなかった。平成23年度はオーキシン飢餓応答についてよく理解されているタバコBY-2培養細胞を用いて細胞体積増加とDNA量倍加の相関を解析した。特に、3次元的なイメージング解析によりDNA量や細胞体積の定量解析を実施した。その結果、DNA損傷時にはシロイヌナズナ同様、細胞体積の増加とDNA量の増加が観察された。また、DNA損傷とオーキシン飢餓を同時に引き起こすことによって、DNA量倍加を伴わない細胞体積増加を誘導することに成功した。この結果から、タバコでは細胞体積増加とDNA量倍加は別経路によって誘導されていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
核内倍加や核内分裂における新たな知見をイメージング解析で得ることができた。そして、その解析積結果をPlant CellやPNASなどの学術雑誌に学術論文として発表できたから。
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Strategy for Future Research Activity |
タバコBY2細胞で見いだした核内倍加と細胞体積の関係を論文化することを推進する。 さらに、培養細胞の知見を植物体に発展させる。
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