2011 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞内光機能分子・粒子の空間階層X線イメージング
Publicly Offered Research
Project Area | Environmental sensing of plants: Signal perception, processing and cellular responses |
Project/Area Number |
23120525
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中迫 雅由 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (30227764)
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Keywords | X線イメージング / 光受容蛋白質 / X線回折イメージング / 結晶化 / 葉緑体 / X線自由電子レーザー / 真核生物 / オルガネラ |
Research Abstract |
本申請では、植物細胞内での空間階層X線イメージングを実施するにあたって、以下の3通りの実験手法を使い分けながら、分子レベルからオルガネラレベルに至る階層構造が外部環境に応じてどのように変化するのかを探る。また、他の研究グループとも積極的に連携して、申請者らの実験手法による構造研究を展開し、裾野を広げたいと考えている。平成23年度は以下を実施した。 光受容蛋白質の構造研究では、大阪府立大学の徳富研究室と共同で、phototropin2のLOV2-kinaseフラグメントとphytochromeBの光受容ドメインについて結晶化を行った。この際には、試料性状を動的光散乱装置で確認後に仕込みを行っている。また、phototropin1のLOV2-kinaseフラグメント野生型、phototropin2のLOV2-kinaseフラグメント野生型、光反応能欠損変異体、リン酸化活性能欠損変異体についてSPring-8BL45でのX線小角散乱実験を実施した。phototropin2のLOV2-kinaseが青色光照射下で構造変化を起こすことを既に見出していたが、変異体実験により、構造変化がLOV2ドメインの光受容に起因することが明白となった。 オルガネラの構造研究では、複膜系オルガネラの代表である葉緑体のX線回折イメージング実験をSPring-8のBL29XUにて実施した。これまでに設計・製作した回折装置とミクロン~サブミクロン粒子を低温凍結試料作製システムを使用し、また、東京理科大の松永研究室と連携して、最小真核生物シゾンのX線自由電子レーザーを用いたX線回折イメージング実験を行った。これら実験では、カーボン薄膜作成装置で作成した試料マウント膜に細胞やオルガネラを載せた。また、顕微鏡システムを用いて凍結後試料様態を確認することを試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
phototropin2のLOV2-kinaseフラグメントとphytochromeBの光受容ドメインについて結晶化では、溶液性状の回線の結果、結晶化に明るい兆しがある。また、X線小角散乱実験から、phototropinの光受容構造変化のメカニズムについて、一歩進んだ議論が可能となった。オルガネラや細胞イメージングでは、世界でも指折りの実験が開始された。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も、このペースで研究を展開したい。結晶が得られれば、即座に構造解析を実施できる準備が整っている。また、sPring-8のBL29xuLにx線回折イメージング実験専用の実験ハッチが平成24年夏には完成の予定で、実験の円滑化が期待される。
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