2011 Fiscal Year Annual Research Report
大気中超微小粒子成分を指標とした発生源影響評価とアジア地域におけるフィールド観測
Publicly Offered Research
Project Area | Impacts of aerosols in East Asia on plants and human health |
Project/Area Number |
23120702
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
関口 和彦 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (50312921)
|
Keywords | 超微小粒子 / 慣性フィルターサンプラー / アーティファクト / 微小粒子 / 成分分析 / 距離減衰 / 粒子成長 / 移動発生源 |
Research Abstract |
実施した研究概要 本年度は、大気中超微小粒子(UFP)を大気圧に近い条件で均一に分級捕集できる慣性フィルター(INF)サンプラーのアーティファクト評価をまず行った。その上で、国内移動発生源を対象に地点別大気観測を行った。 得られた成果 INFサンプラーによるガス吸着は3割程度であり、大気観測に十分使用可能なレベルのアーティファクトであることが確認された。このINFサンプラーを用い、道路(交差点)近傍からバックグラウンド大気までのUFPならびにFPの同時観測を行い、これまでの個数濃度観測のみからでは分からなかったUFPの成長と移流について明らかにした。以下にその内容を要約する。 ・ブラックカーボン濃度は交差点近傍で大きく変動すること、また、交差点近傍においては、バイオマス燃焼の指標とされるChar-ECと近い挙動を示すカーボンが自動車から排出されていることを確認した。 ・交差点近傍においては、UFP中のSoot-EC(ディーゼル排ガス指標)と個数濃度との相関が悪かった。また、UFP中の有機炭素(OC)成分、Char-EC成分が交差点からの距離に関係なく安定していたにもかかわらず、FPは交差点近傍で特に高かったことから、道路近傍で成分観測的にUFPからFPへの核凝縮成長の可能性が示唆された。 ・硫酸塩成分は道路近傍からの距離で凝縮しながら濃度割合を増加させる(成長する)傾向があったが、硝酸塩成分は道路からの距離で減衰し、すぐに他の発生源と混合される傾向があった。 ・道路近傍とバックグラウンド大気の比較でも硫酸塩、硝酸塩で同様の傾向が得られ、また、FPおよびUFP中のOC1成分とSoot-ECがバックグラウンド大気で高い相関を示した。これらは、揮発の少ない冬季に観測できる独特の傾向であると考えられ、OC1成分を核にUFPが発生源から移流拡散しFPへ寄与している可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多環芳香族炭化水素(PAH)などの特異的な指標物質による発生源影響評価までは行えなかったが、当初計画の通りINFサンプラーの性能評価と発生源近傍観測を順調に終えることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度間に合わなかったPAHなどの指標物質について簡易分析手法の確率と評価を行う。さらに、国内での大気観測を継続しつつ、UFP成分濃度データの少ないアジア地域(海外)において大気観測を実施する。
|
Research Products
(10 results)