2011 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリアフック完成シグナリング複合体の機能構造解析
Publicly Offered Research
Project Area | Structural basis of cell-signalling complexes mediating signal perception, transduction and responses |
Project/Area Number |
23121516
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南野 徹 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (20402993)
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Keywords | 蛋白質 / 細菌 / 電子顕微鏡 / 分子モーター / 生物物理 |
Research Abstract |
本研究では、X線結晶構造解析法および極低温電子顕微鏡による画像解析法と、遺伝学的機能解析法とを上手く組み合わせることで、サルモネラ菌べん毛フック完成シグナリング複合体形成とそれに伴う蛋白質輸送装量の輸送スイッチの分子機構を原子レベルで解明することを目指している。本年度の主な成果は以下に示す。 1.輸送ゲート構成蛋白質であるFlhAのC末細胞質領域(FlhA_C)はD1,D2,D3およびD4の4つのドメインからなる。D1およびD2ドメインの境界面に存在する疎水性の窪みがFlgN/FlgK及びFlgN/FlgLシャペロン・輸送基質複合体の結合部位であること、FlgNがFlhA_Cと相互作用することでFlgKおよびFlgLが効率よく輸送ゲート内へ挿入されることが示唆された。 2.FliHおよびFlil ATPaseの動けによりFliJがFlhAの膜貫通領域とRhA_Cとを繋ぐリンカー領域に結合すると、6種類の膜蛋白質からなる輸送ゲート複合体が細胞膜を横切るプロトン駆動力を使ってべん毛蛋白質を効率よく細胞外へ送り出す。 3.電子線トモグラフィー法によりin situでのべん毛基部体の構造解析を行った結果、4.4nm分解能で輸送装置の構造が明らかとなった。 4.NativeのFlgN結晶から2.6Aの回折強度データを収集した。Se-Met置換体結晶のSe peak波長での回折強度データも収集したが,異常分散差が小さく位相決定には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝学的および生化学的解析から、FlgN-FlgK-FliJ-FlhA複合体形成の仕組みおよび機能発現機構については明らかにできた。FlgN単品の結晶構造解析や電子線トモグラフィー法によるin situでの輸送装置の構造解析は順調に進んだが、FlgN-FlgK-FliJ-FlhA複合体が単離精製に苦労し、そのため複合体の結晶化は全く手をつけることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
FlgNのSe-Met誘導体結晶や通常の浸漬法による重原子同型置換体結晶を作製したが、位相決定できなかった。そこで、Cysを導入したFlgN変異体を作成し、水銀置換体結晶を用いた解析を試みる。 安定なFlgN-FlgK-FlhA_c-FliJ複合体を得るために,ドミナントネガティブ変異体を単離する。 電子線トモグラフィー法では、電子線によるダメージを抑えるために個々の画像に対するS/Nが非常に悪く、その結果得られる分解能は極めて低い。多数の画像を平均化すれば分解能は著しく改善できるので、1,000を超えるトモグラムを使って平均像を作成し、高分解能の構造解析を目指す。
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