2011 Fiscal Year Annual Research Report
Wnt受容体共役タンパク質-細胞内Wntシグナル伝達因子複合体群の構造生物学
Publicly Offered Research
Project Area | Structural basis of cell-signalling complexes mediating signal perception, transduction and responses |
Project/Area Number |
23121526
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
柴田 直樹 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 准教授 (30295753)
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Keywords | シグナル伝達 / 発生・分解 / タンパク質 / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
Wingless(Wnt)は細胞の増殖や分化・運動・初期胚発生時の体軸形成や器官形成等の重要な生物学的機能を制御する。Wntシグナルの細胞内への伝達はそのレセプターであるFrizzledがLRP5/6と共役して働くことにより達成される。LRP5/6の細胞内領域がWntシグナルの負因子であるAxinの働きを抑制することによってWntシグナルがオンになると考えられている。本研究ではWntシグナルが細胞内で最初に伝達される経路に関わると考えられている3種類のタンパク質(LRP6、Axin、Dishevelled)が構築する一連の複合体の結晶構造を解明することを目指す。本申請研究は主に5種類のLRPとDIXドメインを含めた複合体のX線結晶解析を中心に遂行される.それらは,LRP6細胞内領域(LRP6-ctail)を中心とする複合体群であり特にLRP6-ctail-Axin複合体が最も重要である。 平成23年度は、LRP6-ctail、Axin、Dishevelled及びLRP6-ctailとAxin複合体形成に必須であるリン酸化酵素(GSK3及びCKI)の大量発現系の構築を行った。その結果、いずれのタンパク質についても結晶化に必要な大量発現系の構築とタンパク質試料調製に成功した。また、LRP6-ctailとAxin複合体を発現する共発現系についても構築を行った。本研究課題で最も重要なLRP6-ctailについては、上記発現系を利用して調製した試料について結晶化スクリーニングを行った所、単独ではあるが、結晶化に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した発現系について構築を行い、結晶化に十分なタンパク質量を確保出来ることが確認出来た。また、結晶化を予定していた試料の内、LRP6-ctailについて結晶が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
複合体の結晶化のための試料調製についてはまだ十分に予備実験を遂行できていない。今後は複合体の各構成タンパク質を単独で調製するための発現方法、調製方法の他に、それらの共発現系を利用した試料調製法を確立する必要がある。しかしながら、LRP6-ctailについて結晶が得られたことは本研究課題の推進にあたり、非常にポジティブな結果であるので、LRP6-ctailを含む複合体の結晶化と構造解析に向けて基本的にはこれまでの方針を踏襲して研究を遂行する。
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