2011 Fiscal Year Annual Research Report
BICDによる微小管依存的な物質輸送制御の構造的基盤
Publicly Offered Research
Project Area | Structural basis of cell-signalling complexes mediating signal perception, transduction and responses |
Project/Area Number |
23121527
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
寺脇 慎一 群馬大学, 大学院・工学研究科, 助教 (10452533)
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Keywords | BICD / Rab6 / 逆行性輸送 |
Research Abstract |
Bicaudal-D(BICD)は、微小管を介して小胞膜や中心体関連タンパク質をゴルジ体や中心体周辺へと逆行性輸送を制御するタンパク質であり、小胞膜上にある低分子量Gタンパク質Rab6やモータータンパク質ダイニンのダイナクチンサブユニットとそれぞれ相互作用することが報告されている。本研究では、BICDの全長、Rab6複合体、そして、ダイナクチンサブユニットとの複合体のX線結晶構造解析をおこない、モータータンパク質が輸送分子を選別する仕組みの理解を目指す。 1.BICD1は、835残基からなり、3つのコイルドコイル領域を持つ。BICD1のC末端27残基を欠損させた領域を大腸菌により発現させ、精製方法の検討をおこなった。しかしながら、精製過程においてC末端領域に非特異的な分解が生じるため十分な純度の精製標品を得るまでに至っていない。C末端分解産物の除去を目的として、C末端に精製タグを付加する等の対策をとることを考えている。 2.Rab6との複合体については、BICD全長とRab6結合領域であるC末端断片領域を大腸菌により発現させ、Rab6の活性化型変異体を利用したアフィニティー精製およびゲル濾過クロマトグラフィーにより複合体の精製方法を確立した。精製した複合体試料を利用して結晶化スクリーニングを開始した。 3.ダイナクチンサブユニットp50の大腸菌を利用した発現系を構築した。現在までに、GSTをN末端に付加した融合タンパク質の発現を確認している。今後、精製方法の確立をおこない、BICDとの複合体の形成条件について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、結晶化に利用するタンパク質試料の調製方法の確立を主な目的とした。BICDは、800残基を越えるタンパク質であり、結晶化に適した試料の調製は困難であることが予想された。しかしながら、大腸菌を利用した大量発現が可能であり、Rab6との複合体を形成させることでアフィニティー精製を利用できることがわかった。結晶化に利用する試料は、順調に準備できてきたので構造解析に向けて結晶化に着手することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に調製したBICD-Rab6複合体については、結晶化条件の探索をおこない、得られた結晶のX線回折能の評価をおこなうことを予定している。また、BICD全長については、精製方法の再検討を実施し、結晶化のスッテプに進める。BICD-ダイナクチンサブユニット複合体については、ダイナクチンサブユニットの精製方法を確立ができ次第、BICDとの複合体の調製条件を検討し、結晶化のスッテプに移行させる。
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Research Products
(2 results)