2011 Fiscal Year Annual Research Report
急性骨髄性白血病の原因タンパク質AML1とRNAアプタマーの複合体の構造解析
Publicly Offered Research
Project Area | Structural basis of cell-signalling complexes mediating signal perception, transduction and responses |
Project/Area Number |
23121528
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂本 泰一 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (40383369)
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Keywords | RNAアプタマー / NMR / AML1タンパク質 / 急性骨髄性白血病 |
Research Abstract |
急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia;AML)の原因の1つに,AML1-MTG8融合タンパク質の発現がある.この融合タンパク質はDNA結合ドメインであるRuntドメインをもつ.このRuntに対して標的DNAより強く結合するRNAアプタマー(AML38)が埼玉県立がんセンターの神津博士らによって作成された.本研究では,アプタマーが結合した時のRuntの立体構造をNMR法を用いて解析し,相互作用メカニズムを明らかにすることを目的とした. RuntとDNAの複合体について,永田らのNMR解析結果をもとに138残基中102残基の主鎖NHに由来するシグナルを帰属した.次にRunt/DNAとRunt/AML38の複合体の^1H-^<15>N HSQCスペクトルを比較した.帰属した102残基のシグナルのうち26個が消失し,12個のシグナルが大きくシフトした(NとNHの化学シフト差の加重平均値が0.1ppm以上).シグナルが消失あるいは大きくシフトしたアミノ酸残基を立体構造上にマッピングし,X線結晶構造解析により明らかにされているDNAの結合部位と比較した.C末端の近傍のDNA結合部位と同じ領域に化学シフトの変化がみられた.AML38の一部とDNAの構造が似ていることが明らかになっていることから,AML38はDNAと同様にRuntのC末端近傍に結合していると考えられる.一方,DNA結合部位と異なる部位にもNMRシグナルの変化がみられた.アプタマーはDNAよりRuntと広い範囲で相互作用していることが示唆されていることから,この相互作用がアプタマーの結合能の強さに寄与している可能性が考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸菌を用いた大量発現系によって,^<15>Nにより安定同位体標識したRUNTドメインを大量調製し,アプタマーとRUNTドメインの複合体のNMR測定の条件を検討し,良好な結果が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
^<13>Cおよび^<15>Nにより標識した試料を用いて,一連の三重共鳴実験を行い,立体構造を決定するともに,相互作用メカニズムを明らかにする計画である.
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