2011 Fiscal Year Annual Research Report
高分子量プロテアーゼを介した細胞外シグナリングの構造生物学的研究
Publicly Offered Research
Project Area | Structural basis of cell-signalling complexes mediating signal perception, transduction and responses |
Project/Area Number |
23121536
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
武田 壮一 独立行政法人国立循環器病研究センター, 心臓生理機能部, 室長 (80332279)
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Keywords | 細胞外シグナリング / プロテアーゼ / タンパク質間相互作用 / モジュラータンパク質 / 蛇毒 / X線結晶構造解析 / トロンビン産生 / ドメイン構造 |
Research Abstract |
本研究では細胞外プロテオリシスを介した生体シグナリング機構の理解を目的として、主に蛇毒由来の2つの異なるプロトロンビン活性化プロテアーゼ(multactivaseおよびpseutarin-C)に焦点を当て、これらの結晶構造を解明する。これら蛇毒タンパク質は複数のサブユニットおよびドメインからなるモジュラープロテアーゼであり、これらのタンパク質に対応するヒトホモログ分子群は発生・分化、様々な疾患の原因や血栓形成に関わるシグナリング分子である。しかしながら、これらヒトタンパク質は大量発現の困難さや過渡的にしか形成されない複合体のため構造研究が進んでいない。本研究では比較的安定な蛇毒タンパク質の立体構造解析を行うが、それらを通じてヒトホモログ分子群についての構造基盤を明らかにすることを最終的な目的とする。今年度はmultactivaseについて3.3A分解能のNative結晶データを得て、現在構造解析を進行中である。Pseutarin-Cについては試料の自己分解が主な原因と考えられ、当初全く結晶を得ることが出来ていなかったが、阻害剤の種類と複合体試料の調製法の検討を行い、最近になり比較的安定な試料を得る方法を確立した。この試料を用いてさらに糖鎖除去等を行い、結晶化スクリーニングを行ったところ、30ミクロン程度の大きさの結晶を得ることが出来た。この結晶について実験室X線回折計を用いて長時間露光(3-6時間/フレーム)で測定したところ、20-30A分解能付近にタンパク質結晶由来と考えられる回折点を確認することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Pseutarin-Cについては安定な試料を得る方法を確立し、初期的なスクリーニングで微結晶を得ることに成功している。multactivaseについては当初計画ではH23年度中に単体での構造決定を目標としたが、構造決定には至っていない。しかし、構造決定への足がかりを作ることが出来ているので、全体としてみればおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
Pseutarin-Cについては精製のスケールを上げ、広範な結晶化条件の検討を進めることにより、十分な回折能のある結晶の調製を目指す。multactivaseについては単体での構造決定を目指すと共に、基質であるプロトロンビンとの複合体結晶のスクリーニングを進める。
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