2011 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ変異体における神経・血管形成
Publicly Offered Research
Project Area | Vasculo-neural wiring and their interdependent crosstalk |
Project/Area Number |
23122501
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
東海林 亙 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (40250831)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 血管形成 / 神経発生 |
Research Abstract |
臓器・組織に脳からの指令を伝える神経系と酸素や栄養を運ぶ血管系は目的が異なるものの、どちらも体のすみずみまでネットワークをはりめぐらせる器官である。神経系では神経成長円錐のフィロボディア(糸状仮足)が周辺のシグナルを認識して神経突起の伸長方向を決定するが、一方で血管系の形成の際にもやはり血管内皮細胞が紡錘状となってフィロポディアを伸縮させながら自らの位置を認識して定められた場所に移動していく現象が知られており、最近では両者には共通した発生のメカニズムのあることが注目を集めている。本研究では血管系と神経系の双方に欠損のある新規のゼブラフィッシュ変異体の解析を行い、これを起点に両者発生・発達のメカニズムに共通する分子機構を探索・解明することを目的としている。 平成23年度には東日本大震災で全滅したゼブラフィッシュ変異体の凍結精子からの復旧を行った。研究計画作成時には予期しなかった建物被害による飼育環境の悪化とこれに伴う腸管内寄生虫の被害が重なり、系統の復旧にほぼ1年間の時間を必要とした。また顕微鏡等の研究機器の修理・更新にも予想以上に時間がかかったために研究計画を見直し、マウスを用いた研究を行った。具体的にはそれまでのゼブラフィッシュ変異系統の研究において細胞内輸送系を担う分子群が血管内腔形成に重要な役割をもつことを発見したことから、「同様の血管内腔機構が高等な脊椎動物に保存されている」ことを仮説とし、これをマウスを用いて検証した。具体的にはマウスの新生血管のモデルであるマトリゲル・プラグ法を採用し、siRNAによる遺伝子ノックダウンを試みた。残念ながら抗体を用いた手法では血管内腔の描出が不良であったため、血管内皮細胞をGFPで標識するTie2:GFPマウスを導入し、次年度以降の研究に備えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災で被害を受けたゼブラフィッシュ系統の復旧が遅れているものの、代わってゼブラフィッシュ変異体で得られた発見をより高等な哺乳動物での保存性を検証する研究計画を前倒して遂行している。全体としては上記の進捗状況と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に計画していたゼブラフィッシュを用いた研究を復旧し遂行するとともに、新たに導入したマウスの研究を並行して行う。2つのモデル生物を同時に扱うことで研究資金・マンパワーの不足が問題点となりうるが、当面の研究対象を血管形成に絞り込むことによって対応する。
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