2011 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞と諸器官のワイアリング機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Vasculo-neural wiring and their interdependent crosstalk |
Project/Area Number |
23122503
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
依馬 正次 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60359578)
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Keywords | 血管内皮細胞 / Flk1 / VEGF / 神経 |
Research Abstract |
本申請では、以下の3つの研究項目を遂行することにより、Flk1陽性血管内皮細胞による臓器形成機構を明らかにすることが目的である。 1)血管と心臓・腎・泌尿器のワイアリングの解明:血管内皮細胞による、心臓・腎・泌尿器のサイズ制御機構を明らかにすることで、中胚葉系臓器形成の新しいモデルの提唱に繋げる事を目的とする。H23年度は、どの臓器が影響を受けているのか詳細にわたって組織学的に解析した。具体的には、表現型が観察される8日胚あるいは7日胚の段階で、胚を固定し、ヘマトキシリン・エオジン染色により組織解析を行った。また、心筋細胞数をフローサイトメーターを用いて評価し、Flk1 KOマウス胚において心筋細胞数が2倍に増加していることを見出した。心筋、血球、血管内皮細胞のマーカー遺伝子発現を定量PCR法を用いて測定した。 2)血管と中枢紳経系のワイアリングの可能性:血管内皮細胞を欠損するFlk1 KOマウスでは、複数の神経特異的遺伝子が変動している予備データが得られている。一方、血管内皮細胞を過剰に発生するFlk1 KOマウスでは神経板のパターン形成に異常が認められている。H23年度は、En2などの中枢神経系のマーカー遺伝子の発現が変動していることをqRT-PCRなどにより評価した。 3)血管イメージングのための新規モデルマウスの創出:Tip cell形成を始めとする血管新生プロセスにはVEGF-Flk1シグナル伝達系が中心的な役割を果たす。H23年度は、VEGF受容体の一つであるFlt1遺伝子制御領域を含むBACクローンを用いて、血管内皮細胞において赤色蛍光を発するFlt1-tdsRed BAC Tgマウスを作製し、班員と共有した。また、VE-cadherin遺伝子制御領域を含むBACクローンを用いて、血管内皮細胞においてKusabira-Orangeを発現するためのTgを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)血管と心臓・腎・泌尿器のワイアリングの解明:H23年度は、どの臓器が影響を受けているのか詳細にわたって組織学的に解析した。具体的には、表現型が観察される8日胚あるいは7日胚の段階で、胚を固定し、ヘマトキシリン・エオジン染色により組織解析を行った。また、心筋細胞数をフローサイトメーターを用いて評価し、Flk1 KOマウス胚において心筋細胞数が2倍に増加していることを見出した。心筋、血球、血管内皮細胞のマーカー遺伝子発現を定量PCR法を用いて測定した。以上の状況から、おおむね順調に進展していると考えられる。 2)血管と中枢神経系のワイアリングの可能性:H23年度は、En2などの中枢神経系のマーカー遺伝子の発現が変動していることをqRT-PCRなどにより評価した。以上の状況から、おおむね順調に進展していると考えられる。 3)血管イメージングのための新規モデルマウスの創出:H23年度は、VEGF受容体の一つであるFlt1遺伝子制御領域を含むBACクローンを用いて、血管内皮細胞において赤色蛍光を発するFlt1-tdsRed BAC Tgマウスを作製し、班員と共有した。また、VE-cadherin遺伝子制御領域を含むBACクローンを用いて、血管内皮細胞においてKusabira-Orangeを発現するためのTgを構築した。以上の状況から、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)血管と心臓・腎・泌尿器のワイアリングの解明:Flk1およびFlt1ノックアウトマウスにおいて、心臓・腎・泌尿器以外の器官が影響を受けていないかどうか、Unx(体節)、Brachury(体軸中胚葉)などの発現を全胚in situ hybridization法で検討することで、各臓器の(前駆)細胞が影響を受けているか検証する。 2)血管と中枢神経系のワイァリングの可能性:血管内皮細胞がどのようにして神経系遺伝子発現に影響を及ぼしているのか検討する。具体的には、8日胚からコラーゲナーゼ処理によってNeural plateを単離し、FACS sorterによって単離した血管内皮細胞(PECAM1/VE-cadherin2重陽性細胞)をco-cultureし、どのような因子(例えば分泌性因子)によって制御されているのか検討する。 3)血管イメージングのための新規モデルマウスの創出:前年度にinjectionしたVE-cadherin-Kusabria-Orange BACトランスジェニックマウスを用いて、胎子や新生児Retina、成獣腫瘍血管新生時の組織(あるいは全胚)を用いて、PECAM1などどの免疫染色後に、血管内皮細胞のイメージングを行うことで、既存血管内皮細胞やTip cellのイメージングに十分蛍光の強いラインを選定し、凍結受精卵を作製すると共に、領域班で共有する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Molecular basis for Flk1 expression in hemato-cardiovascular progenitors in the mouse2011
Author(s)
Ishitobi, H, Wakamatsu A, Liu F, Azami T, Hamada M, Matsumoto K, Kataoka H, Kobayashi M, Choi K, Nishikawa S, -I, Takahashi S, Ema, M
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Journal Title
Development
Volume: 138
Pages: 5357-5368
Peer Reviewed
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