2011 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮前駆細胞が分泌する神経幹細胞の自己複製促進因子
Publicly Offered Research
Project Area | Vasculo-neural wiring and their interdependent crosstalk |
Project/Area Number |
23122518
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
並木 淳 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20189195)
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Keywords | 再生医学 / 神経科学 / 生理活性 / プロテオーム |
Research Abstract |
本研究は、研究代表者が同定した血管内皮前駆細胞が分泌する新規の生理活性蛋白質(ここではEPC factor 1と呼ぶ)について、神経幹細胞に対する培養維持増幅効果の検討、マウスin vivoでの効果の検討、in vitroでの作用分子メカニズムの解析、ヒトホモログの作用効果の検証を目的とする。平成23年度は、EPC factor1の神経幹細胞に対するマウスin vivoでの効果の検討、in vitroでの作用分子メカニズムの解析を中心に研究を行った。 遺伝子組み換えEPC factor1(rcEPC factor1)を作製し、浸透圧ミニポンプに充填してマウス皮下に移植、側脳室に定位的に挿入したカニューレと接続して7日間の持続投与を行った。正常成体マウスを実験動物に用いて、増殖細胞を標識するBrdUを種々の投与期間で与え、脳内の内在性神経幹細胞あるいはその子孫細胞を免疫組織学的に標識、定量評価した。その結果、in vivoにおける内在性神経幹細胞の増幅効果が示された。また、内在性神経幹細胞を採取してex vivoで分化培養し、ニューロン産生に対するrcEPC factor1の効果を調べた結果、新生ニューロン分化の促進効果が認められた。EPC factor1が神経幹細胞の自己複製を促進する作用分子メカニズムについて、rcEPC factor1を作用させた神経幹/前駆細胞塊を試料として、リン酸化プロテオミクスにより活性化しているシグナル伝達を網羅的に解析した。対照群と比較したクラスター解析の結果、神経幹細胞の未分化性維持に関係していることが知られているシグナル伝達について、促進系の上昇と抑制系の低下が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EPC factor1の神経幹細胞に対するマウスin vivoでの効果の検討、in vitroでの作用分子メカニズムの解析について、重要な実験結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
EPC factor1の神経幹細胞に対するマウスin vivoでの効果の検討については、ノックダウン実験もしくは中和抗体の投与実験により、内在性EPC factor1の作用効果についても検討を加える。 EPC factor1のin vitroでの作用分子メカニズムの解析については、蛋白質レベルの検討に加えて、マイクロアレイを用いた遺伝子レベルの解析を行う。 マウス特異的とされているEPC factor1のヒトオーソログ探索に関しては、マウス由来細胞を用いたスクリーニング実験の結果を踏まえ、ヒト由来神経幹細胞を用いたin vitroの培養細胞実験にて自己複製促進効果を検討する。
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Research Products
(3 results)