2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規巨大タンパク質ミステリンによる血管・神経形成の制御
Publicly Offered Research
Project Area | Vasculo-neural wiring and their interdependent crosstalk |
Project/Area Number |
23122520
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
森戸 大介 京都産業大学, 総合生命科学部, 特定研究員(PD) (20514251)
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Keywords | 血管新生 / 神経形成 / モヤモヤ病 / AAA+タンパク質 / ユビキチン |
Research Abstract |
ミステリンの細胞内、生体内機能を探る目的で、MSを用いて細胞内でミステリンと結合する因子の網羅的解析を行ったところ、幾つかの結合因子を得た。このうち過去に神経発生に関与することが報告されている脱ユビキチン化酵素にフォーカスをしぼった解析を行った。ミステリンはユビキチン化酵素であることから、ユビキチン化酵素と脱ユビキチン化酵素が拮抗的、あるいは共役的にはたらくことが示唆されたが、実際、細胞内でこの両者は結合し、さらにユビキチン化反応に関してこの両者が機能的に相関することも明らかとなった。次に問題となるのは、血管・神経形成におけるこの両者の役割であり、現在、これを解析するために血管内皮の初代培養細胞と個体における血管・神経形成の両方の系において、ミステリンと脱ユビキチン化酵素の発現を制御する系を構築している。 また、ミステリンの細胞内機能にとって重要なことの1つに、ミステリンのAAA+ATPアーゼ活性の問題があるが、最近、我々はミステリンの精製に成功し、この精製標品を用いて電子顕微鏡観察を行ったところ、ミステリンが複合体リング状構造をとっていることを見出した。このようなリング構造形成はAAA+タンパク質ファミリーに共通の性質と考えられ、またATPアーゼ活性との関連が示唆されたため、ミステリンのATP加水分解活性に変化のある各種変異体を作成し、構造解析を行った。この結果、ミステリンの複合体形成能とATPアーゼ活性の間に強い相関があることが示唆された。ミステリンが複合体を形成し、AAA+ATPアーゼ型分子エンジンとして、どのように細胞内ではたらき、血管・神経形成を制御するのか、引き続き解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血管と神経の相互作用というチャレンジングな課題において、血管に関与するミステリンと神経に関与する脱ユビキチン化酵素の機能相関を見出し、神経・血管相互作用をこれらの分子から切り拓いて行く足掛かりができた。2年目には雑誌での公表を目指したい。
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Strategy for Future Research Activity |
ミステリンと脱ユビキチン化酵素の機能相関、血管・神経における役割の解析を進めるとともに、そのような機能にミステリンの複合体形成と構造変化がどのように寄与するのか、分子・細胞・個体のレベルで解析を進めて行く,
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