2012 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質における興奮性、抑制性神経細胞―血管ワイアリングの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Vasculo-neural wiring and their interdependent crosstalk |
Project/Area Number |
23122521
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
江藤 圭 生理学研究所, 発達生理学研究系, NIPSリサーチフェロー (30545257)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 血管 / 神経 / アストロサイト / 2光子顕微鏡 / 大脳皮質 |
Research Abstract |
大脳皮質における神経細胞と血流の関係は、正常・病態ともに大きな役割を担っていると考えられている。興奮性神経細胞活動が血流を調節すると考えられており、その調節にはアストロサイトが関与することが明らかになっている。しかし、生きた動物の脳内において興奮性神経伝達物質がどのようにアストロサイトを介して血管を調節するのかはあまり分かっていない。そこで、平成24年度は2光子顕微鏡を用いて麻酔下マウス脳内で、興奮性神経伝達物質グルタミン酸の光アンケージングによるアストロサイト刺激の血管への影響を検討した。血管径を自動計測することは困難であったため、画像解析プログラムを開発し、解析に使用した。脳表の血管走行と、アストロサイトマーカーによる染色パターンにより、動脈と静脈を識別した。動脈において、グルタミン酸アンケージングにより血管が大きく拡張するものがあったが、収縮するものもあった。血管径の変化とアストロサイト細胞内カルシウム濃度上昇は相関するものもあったが、カルシウム応答なしでも刺激後血管が変わるものもあった。一方、静脈も動脈と同じ結果を示した。これらの結果から、生きた動物の脳内において、アストロサイトはグルタミン酸刺激により動脈・静脈を拡張・収縮させ、この反応にアストロサイトのカルシウム応答が必ずしも必要ではないことが明らかになった。また、神経由来血管調節物質として重要なNOの血管調節機構を調べるために、新たに開発されたcaged NO(Flu-DNB)を2光子刺激で局所刺激し、血管への効果を検討した。その結果、刺激により動脈が大きく拡張後収縮し、拡張応答はcGMPを阻害することで抑制できた。これらの結果は神経-血管連関に関する新しい知見であるとともに、その研究に有用な新たなツールを見出すことができ、生理学的に意義があると考えられる。
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