2011 Fiscal Year Annual Research Report
カハール・レチウス細胞等のGABAの積極的興奮性とその生理的意義の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Neural Diversity and Neocortical Organization |
Project/Area Number |
23123505
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
井上 浩一 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (80345818)
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Keywords | カハール・レチウス細胞 / サブプレート細胞 / 大脳皮質構築 / KCC2 / タウリン |
Research Abstract |
成体では抑制性に作用するGABAは未成熟な神経細胞では興奮性伝達物質としてはたらくが、これはCl-イオン輸送体KCC2の活性が発達と共に上昇するためである。ラット・マウスでは脳幹の細胞や大脳皮質形成過程のカハール・レチウス(CR)細胞が出生前後に既にKCC2を発現していることが報告されているが、反対する意見もある。そこで、発達期におけるCR細胞、皮質板(サブプレート;SP)細胞のKCC2発現を調べた。抗KCC2抗体を用いた免疫組織学的実験を行ったところ、リーリン陽性のCR細胞では生後7日(P7)までKCC2のシグナルは認められなかった。ところが、SPではPOで既にKCC2のシグナルが認められた。in situ hybridization法にてmRNAの発現を調べた場合もKCC2のシグナルがSP付近に認められた。過去の報告では、SPの細胞では生後P2~5で細胞内Cr-濃度([Cl-]_i)が比較的高くGABAが脱分極に作用することが示唆されているため、電気静学的手法を用いて[Cl-]_iを調べた。その結果、SPではII/III層の錐体細胞に比べて[Cl-]_iが低く、KCC2の活性があることが示唆された。これはLuhmannら(2002、2008)による報告と異なっており、現在、その原因を探索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験はおおむね順調に行った。しかし、過去の文献報告からSP細胞でのKCC2の発現にもかかわらず[Cl-]_iが比較的高いことを想定していたが、予想していた結果と異なる結果が出ている。そのため実行予定(発達期大脳皮質の各部位でのタウリンの分布の検討)の実験をする必要性がなくなっている。ただし、その原因究明は今後行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度は予定の実験を行ったことになるが、24年度の計画は、過去の文献報告と異なる結果が出たためそのまま実行することはできない。まず報告と異なった結果が出た原因を検討・追究する。具体的には、グラミシジン法による正確な細胞内Cl-濃度の測定とCa^<2+>イメージングによるGABAの脱分極による細胞内Ca^<2+>濃度上昇作用が部位により異なるかを調べる(予想ではCR、SP細胞ではGABAでCa^<2+>が上昇しない)。 同時に、GABAの興奮・抑制に関係なくCR細胞、SP細胞の生理的役割について、検討していく。SP細胞では、薬剤投与によるSP細胞除去の方法が確立しており、その方法を用い、SP細胞除去による大脳皮質形成への関与を詳細に検討する。
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Research Products
(7 results)