2011 Fiscal Year Annual Research Report
発生時期による神経幹細胞の分裂パターンの変化を制御する機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Neural Diversity and Neocortical Organization |
Project/Area Number |
23123506
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川口 綾乃 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90360528)
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Keywords | 神経幹細胞 / 単一細胞cDNA / 大脳発生 |
Research Abstract |
哺乳類大脳において神経幹細胞は発生時期に応じて細胞分裂のパターンを変化させる。このパターン変化がどのような機構でおこっているのかを知るために、神経幹細胞の経時的な遺伝子発現の変化に注目し解析をおこなった。まず、これまでに得ているマウス胎生11,14,16日目の神経前駆細胞由来の単一細胞由来cDNAに加えて、胎生10,12,13日目の各発生ステージにおいても、単一細胞由来cDNAを作成した。DNAマイクロアレイの結果の主成分分析等から、神経幹細胞の時間軸変化を代表する遺伝子セット21個を同定することができた。この遺伝子セットを用いて、新たに作成したcDNAをより詳細に検討した結果、マウス大脳では、神経幹細胞は胎生12日目に、その遺伝子発現パターンを大きく変化させていることが明らかとなった。 引き続いて、神経幹細胞の、発生時期に応じた時間軸に沿った遺伝子発現パターンの変化に、具体的にどのような因子が関与しているのかの検討を行った。胎生12日目に大きな遺伝子発現変化がおこることが明らかとなったため、その時期を挟んでの実験操作と解析が必要である。胎生10日目、11日目という初期胚への遺伝子導入が必要であるため、この時期へのエレクトロポレーションによる生体内遺伝子導入法の検討を行い、いくつかの手技の改良を行った。その後、まず、時間軸にそった遺伝子発現のパターン変化におよぼす細胞周期の影響について検討を行った。未分化性を維持させるために活性型Notchを強制発現、した下で、細胞周期関連遺伝子を操作し細胞周期進行を停滞させた場合に、神経幹細胞の遺伝子発現がどのように変化するのかを調べるために、胎生11日胚の大脳に遺伝子導入を行い、胎生14日目に遺伝子操作された神経幹細胞をピックアップし、複数個の単一細胞由来cDNAを作成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単一細胞由来cDNAの追加作成と、神経幹細胞の時期依存的マーカー分子の定量的PCRによる解析は当初の予定どおり進行している。神経幹細胞の時間軸変化に関与する因子の研究については、その実験系と解析系を立ち上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞周期進行に関連する遺伝子のノックダウンと活性型Notchの導入を同時に行い、経時的に変化する21個の遺伝子セットの発現レベルの変動を調べることで、細胞周期進行が神経幹細胞の遺伝子発現パターンの経時的な変化にどのように関わっているのかの解析を行う。同様の解析系を用いて、既知のシグナル経路が経時的変化へおよぼす影響について調べる。また、発生時期に応じて変化する遺伝子群の中に、神経幹細泡の遺伝子発現パターンに関与している因子が含まれている可能性もあり、その因子を探索すべく、ノックダウン実験を中心にしたスクリーニングを行う。
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Research Products
(2 results)