2011 Fiscal Year Annual Research Report
皮質2/3層興奮性細胞の特徴的な形態・機能獲得における神経活動の役割
Publicly Offered Research
Project Area | Neural Diversity and Neocortical Organization |
Project/Area Number |
23123508
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田川 義晃 京都大学, 理学研究科, 助教 (50303813)
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Keywords | 大脳皮質 / 神経回路 / 神経活動 / 発達 / イオンチャネル |
Research Abstract |
本研究は、発達期のマウス大脳皮質2/3層興奮性細胞の特徴的な形態・機能獲得における神経活動の役割を明らかにすることを目的とする。実験1では、神経活動を抑制する実験を行い、形態・機能獲得のどの段階が神経活動依存的であるかを明らかにする。実験2では、神経活動を亢進させる実験を行い、発達期の異常な神経活動が回路構築に与える影響を明らかにする。本年の実績は以下め通りである。(実験1)子宮内電気穿孔法とTet off systemを組み合わせて時期特異的に神経活動を抑制する実験系を確立した。マウス皮質2/3層興奮性細胞は、生後15日目までに特徴的な長距離軸索投射を形成する。また、大脳皮質視覚野では、方位選択性という重要な機能を獲得する。前者に関しては、時期特異的な神経活動抑制実験により、生後7日目以降の神経活動が必須であることが明らかになった。後者に関しては、時期特異的な神経活動抑制と2光子イメージングを組み合わせた実験を進めている。(実験2)神経細胞の興奮性の調節に重要な役割をもつK+チャネルKCNK9の機能阻害により、発達過程の皮質神経細胞の興奮性が亢進すること、細胞移動に異常が生じることを明らかにした。また、原核生物由来のNa+チャネルNaChBacによって興奮性を亢進させても、細胞移動に異常が生じることを明らかにした。この結果は、発達過程の未熟な神経細胞では興奮性が比較的低く保たれることが重要であることを示唆する。また、KCNK9は遺伝性発達障害の原因遺伝子として報告されている。発達期の興奮性の亢進は細胞移動異常を介して大脳皮質回路構築の異常を引き起こし、疾患につながる可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時期特異的に神経活動を抑制する実験系が確立でき、発達期のどの時期の神経活動が必須であるかを明らかにする実験を順調に進めている。また、神経活動の亢進により細胞移動が障害されるという新しい結果を得て論文投稿中であり、計画は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
神経活動を抑制する実験、亢進させる実験ともに、計画通り研究を進める。
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