2011 Fiscal Year Annual Research Report
発生段階依存的な神経系細胞産生におけるDNMT1の機能解析
Publicly Offered Research
Project Area | Neural Diversity and Neocortical Organization |
Project/Area Number |
23123514
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
波平 昌一 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (60379534)
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Keywords | DNAメチル化 / 細胞分化 / 大脳新皮質 / 神経幹細胞 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
本年度までは、胎生後期神経幹細胞の分化制御におけるDNMT1の役割を明らかにするため、in vitroにおいてウイルスを用いて胎生後期神経幹細胞にDNMT1の過剰発現及びノックダウンを誘導し、それによる分化傾向の変化を免疫染色法により観察した。結果、胎生後期神経幹細胞への野生型DNMT1の過剰発現はニューロン分化を抑制し、未分化状態にある神経幹細胞を増加させた。また、この作用はDNMTのメチル化活性部位に変異を導入した変異型DNMT1の過剰発現においても同様に観察されたことから、その作用機構はDNMT1のDNAメチル化活性非依存的である可能性が得られた。一方、特異的shRNAによりDNMT1の発現減少を誘導した場合ではニューロン分化の亢進が観察され、且つ、この作用は神経幹細胞の未分化性が維持される培養条件においても観察された。これらの結果から、胎生後期神経幹細胞においてDNMT1はニューロン分化抑制作用を有することが示唆された。 さらに、電気穿孔法及び、タモキシフェンの投与によりDNMT1の欠損を神経幹細胞特異的に誘導できるNestinCreERT2/Dnmt1flox/floxマウスを用いて、in vivoでの解析を行った。その結果、DNMT1を過剰発現させた場合、成熟したニューロンが存在する皮質板へと遊走した細胞の減少が観察され、DNMT1を過剰発現している細胞は神経幹細胞が存在する脳室帯、脳室下帯に留まる割合の増加が見られた。さらに、NestinCreERT2/Dnmt1flox/floxマウスを用いて胎生後期でDNMT1をノックアウトした場合、皮質板に存在するニューロンへの分化傾向の増加が観察された。 以上の結果から、DNMT1はニューロン分化抑制作用を有していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述したように、培養系を用いたin vitroによる解析と、電気穿孔法とNestinCreERT2/Dnmt1flox/floxマウスを用いたin vivo解析により、胎生後期のDNMT1がニューロン分化に関与するという確実な結果を得ている。よって、来年度計画していたDNMT1の標的ゲノム領域の同定や、相互作用因子の探索が速やかに行うことができるため、研究は概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、DNMT1により遺伝子発現が制御されている標的遺伝子を明らかにするために、DNMT1を過剰発現及び、欠損させた神経幹細胞からmRNAを採取し、マイクロアレイ解析により、発現量が著しく変化する遺伝子を特定する予定である。これに加えて、これらの遺伝子プロモーター領域へのDNMT1の結合をクロマチン免疫沈降法により検出し、DNMT1の標的遺伝子の同定を行いたいと考えている。加えて、標的遺伝子の同定後、DNMT1の過剰発現及び欠損による標的遺伝子プロモーター領域のヒストン修飾の変化をクロマチン免疫沈降法により検出し、それにより予想されるヒストン修飾に関わる因子とDNMT1の相互作用を免疫沈降法により明らかにしたいと考えている。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Treatment of aouse model of spinal cord injury by transplantation of human iPS cell-derived long-term self-renewing nenroepithelial-like stem cells2012
Author(s)
Fujimoto Y., Abematsu M., Falk., Tsujimura K., Sanosaka t., Juliandi B., Semi K., Namihira M., Komiya S., Smith A., Nakashima K.
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Journal Title
Stem Cells
Volume: (in press)
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] DNMT1 regulates neuronal differentiation of neural precursor cell in late-gestational forebrain2012
Author(s)
Noguchi, H., Namihira, M., Tanaka, T., Sanosaka, T., Nakashima, K.
Organizer
40^<th> KEYSTONE SYMPOSIA
Place of Presentation
Keystone, Colorado, USA
Year and Date
2012-01-17
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