2011 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質の飛躍的なニューロン産生増加の基盤メカニズム
Publicly Offered Research
Project Area | Neural Diversity and Neocortical Organization |
Project/Area Number |
23123523
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
岡戸 晴生 財団法人東京都医学総合研究所, 脳発達・神経再生研究分野, 副参事研究員 (60221842)
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Keywords | RP58 / OSVZ / 大脳皮質 |
Research Abstract |
マウスの解析から、大脳皮質の神経前駆細胞には脳室面で分裂する脳室帯前駆細胞と、そこから産生した脳室下帯で分裂する脳室下帯前駆細胞(中間前駆細胞)があることが知られている。最近、それに加えて、外側脳室下帯(OSVZ)前駆細胞が、霊長類における爆発的な皮質ニューロン数の増加に寄与していることが示唆され、さらに、げっ歯類にもより少数であるが、外側脳室下帯(OSVZ)前駆細胞の存在が示された。 転写抑制因子RP58を欠損させると、神経前駆細胞が増加し、興味深いことに、脳室下帯の外側にPax6陽性細胞層がみられ、外側脳室下帯(OSVZ)前駆細胞の増加が推察された。本研究は、このRP58の機能解析を糸口として、大脳皮質におけるニューロン産生の飛躍的増加メカニズムを探ることにある。 RP58KOマウスの大脳皮質では、外側のPax6陽性領域で細胞周期離脱が障害されていること、p-Vim陽性/Pax6陽性細胞が増加していること、Notchシグナルが活性化していることを見出した。これらの結果は、外側Pax6陽性領域がOSVZ様の性質を有することを示唆している。 これらのメカニズムを明らかにするために、マイクロアレイ解析と子宮内電気穿孔法による遺伝子導入により、転写抑制因子RP58はId1-4の転写を抑制し、さらにその結果p57の発現が上昇することによって、細胞周期離脱が起こり、ニューロン分化が起こるという新たな情報伝達経路を見出した。これは、RP58が自己増殖の新たな制御因子であることを示している。以上のことから、RP58は、細胞の自己増殖に影響することによって、OSVZ前駆細胞の形成に関与している可能性を提案したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RP58KOマウスの大脳皮質でみられる外側Pax6陽性領域が、霊長類にみられるOSVZ様であることを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
RP58の発現パターンをマーモセット、フェレットで解析することで、RP58の発現とOSVZ制御機構を明らかにすることで、RP58とOSVZ形成との関連を明らかにする糸口を探る。
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