2011 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質-視床網様核-視床のクロストーク形成における転写調節
Publicly Offered Research
Project Area | Neural Diversity and Neocortical Organization |
Project/Area Number |
23123524
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小野 勝彦 京都府立医大学, 医学研究科, 教授 (30152523)
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Keywords | olig2 / 軸索ガイダンス / 視床網様核 / 視床皮質投射 |
Research Abstract |
視床網様核は、腹側視床に由来する神経核であり、視床皮質投射・皮質視床投射の両者から軸索側枝を受ける。GABAergicニューロンにより構成され、視床皮質間の活動が背側視床へ何らかのフィードバックを与えて重要な機能を持っていることが明らかにされている。発生過程では、背側視床の腹側に位置しており、背側視床に出入りする軸索は必ずこの領域を通過する。一般的に軸索が通過する領域は、軸索伸長に対して何らかのシグナルを与えていると考えられているが、視床網様核の回路形成における機能は全く明らかにされていない。本研究では、視床と大脳皮質とをつなぐ回路形成における視床網様核の機能を明らかにすることを目的として行なっている。最初に、この解析を機能喪失実験として解析するために、腹側視床の形成不全マウスを見出すことを行なった。転写因子であるOlig2は、発生段階の腹側視床の脳室層に発言していることから、Olig2欠損マウスの間脳の発生を調べた。腹側視床はdlx2を発現するが、Olig2欠損マウスではdlx2陽性領域が優位に狭く、形成不全を呈することがわかった。終脳腹側部でもOlig2が発現しているが、視床皮質投射をガイドするlslet1/2陽性のcorridor細胞などの発生はほぼ正常であった。またOlig2は視床には強い発現はみられない。したがって、Olig2マウスを用いることで、視床皮質投射の機能喪失実験を行うことが可能であることがわかった。視床皮質投射形成の始まる胎齢13.5日目では、視床の外套層内を軸索は背腹方向に伸びているが、Olig2欠損マウスの視床ではその表層部にのみ軸索が見られランダムな方向に伸びていた。Olig2欠損マウスでみられる視床皮質線維の投射異常が、細胞非自律的引き起こされる可能性が強い。今後はこのことを明らかにすると共に、投射異常様式とそのメカニズムを明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニワトリ胚を用いた解析はやや遅れているが、マウスを用いた解析は予定以上に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次の段階として、視床網様核の形成不全で誘導される軸索投射異常の責任分子をin vivoで明らかにすることを目的とする。マウス胎仔を用いた遺伝子導入系が使えるようになったので、ニワトリ胚を用いた系の実験を縮小する。
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