2011 Fiscal Year Annual Research Report
終脳特異的細胞接着分子テレンセファリンへ結合する分子群による神経可塑性の制御機構
Publicly Offered Research
Project Area | Neural Diversity and Neocortical Organization |
Project/Area Number |
23123525
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
古谷 裕 独立行政法人理化学研究所, シナプス分子機構研究チーム, 研究員 (80392108)
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Keywords | テレンセファリン / 樹状突起フィロポディア / シナプス可塑性 / プロテオミクス |
Research Abstract |
テレンセファリン(TLCN)は終脳特異的に発現する細胞接着分子で、スパインを持つ神経細胞に発現している。これまでにテレンセファリンと細胞外マトリックス蛋白質ビトロネクチン(VN)が結合することを明らかにしている。VNコートビーズを培養海馬神経細胞に撒くとTLCNの集積と共に結合蛋白質などが集積してくる。このビーズに結合する蛋白質を精製したところ樹状突起フィロポディアに局在する分子を多く含んでいたことから樹状突起フィロポディア画分とした。 Biacoreを用いて樹状突起フィロポディア画分に含まれていた細胞外因子とTLCNとの結合実験を行った。その結果、slit,semaphorin3,tenascinC,laminin,collagenには結合せず、thrombospondinと強く結合することを明らかにした。そして、このTLCNとthrombospondinとの結合にはVNと同様にTLCN第2Ig-likeドメインが重要であることを明らかにした。そして、thrombospondinコートしたビーズを培養海馬神経細胞に撒くとTLCNの激しい集積を起こした。 また、当研究課題では樹状突起フィロポディア画分より同定した分子を終脳特異的に過剰発現させ、大脳新皮質におけるシナプス可塑性を調べることを目的としている。そのために、TLCN転写調節領域とTet offシステムを組み合わせ、終脳特異的に遺伝子発現のオンとオフを切り替えられるトランスジェニックマウスを作製した。その結果、大脳新皮質において目的の遺伝子を第4層を除くすべての層に発現させることのできるマウスと第2,3層特異的に発現させることのできるマウスを得た。これらのマウスとテトラサイクリン応答因子の下流に目的の遺伝子を挿入したトランスジェニックマウスとを掛け合わせ今後の実験に用いる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹状突起フィロポディア画分に含まれる細胞外因子よりthrombospondinを同定しており、thrombospondinのテレンセファリン内での結合領域も同定し、thrombospondinがビトロネクチンと同様に培養海馬神経細胞でテレンセファリンを集積させる効果を持つこと明らかにしており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
シナプス可塑性の分子機構を解明するためにthrombospondinなどの機能を培養海馬神経細胞で観るとともに、in vivoでも培養系より選択した分子による可塑性の制御機構を明らかにする。
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Research Products
(3 results)