2011 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニック技術によるイモリ網膜再生メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular mechanisms underlying reconstruction of 3D structers during regeneration |
Project/Area Number |
23124502
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
千葉 親文 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (80272152)
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Keywords | イモリ / トランスジェネシス / 網膜色素上皮細胞 / 網膜 / 再生 / MEK-ERK / Pax6 / FGF受容体 |
Research Abstract |
本研究ではトランスジェニック・イモリを用いた網膜再生研究を実践する。特に、網膜の外傷直後に再生起源細胞(網膜色素上皮細胞:RPE細胞)で活性化するMEK-ERK経路と、RPE細胞由来の網膜幹細胞様(RSC-like)細胞および網膜前駆細胞で活性化するFGF受容体->MEK-ERK->Pax6経路にフォーカスし、これらの経路分子の遺伝子発現や活性を人為的に制御することにより、再生開始、増殖、パターニングにおけるこれらの役割を明らかにすることを目的とする。 本年度、RPE特異的遺伝子RPE65のプロモーター領域(ORFの上流~1kb)をアカハライモリ・ゲノムライブラリーから単離することに成功した。次に、pRPE65-mCherry:pCAGGs-EGFP(Sce)ベクターを作製し、 I-SceIメガヌクレアーゼ法によりトランスジェネシスを試みた。その結果、幼生眼球中の分化したRPEと視細胞でmCherryの発現が確認された。これによりRPE細胞の遺伝子機能制御に向けた基礎ができた。 Retina-less eye-cup(RLEC)培養法を確立し、MEK-ERKの活性化、ヘパリン結合性因子、細胞間接着が、RPE細胞の細胞周期侵入に必須であることを明らかにした。特にMEK2とERK2/1が重要であることを見出した。また、in vivoでもMEK2-ERK1/2が網膜の外傷後に急速に活性化すること明らかにした。 網膜再生系にcanonicalとnon-canonicalの両方のPax6が発現していることが分かった。Non-canonical Pax6は正常なRPE細胞でも発現しており、細胞周期侵入前にアップ・レギュレートされることが分かった。一方、canonical Pax6はRPE細胞由来のRSC-like細胞から網膜前駆細胞が分離する際に発現することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
トランスジェニック技術により網膜再生起源細胞に遺伝子を発現させることができたこと、対象とすべき分子種(アイソフォームなど)と発現様式、抗体などの検出ツール、機能に関する作業仮説が得られたことから、機能解析の準備は整ったと言えるが、特定の分子の機能を綱御するコンストラクトの作製にまでは至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
RPE細胞特異的な遺伝子発現制御を実現するためにpRPE65を用いたが、RPE細胞だけでなく視細胞でも外来遺伝子が発現した。I-SceI法では、ゲノムに挿入された外来遺伝子とその周辺の遺伝子発現制御領域との間の相互作用により発現が予想外に抑制されたり活性化されたりすることが知られている。そこで時空間的な発現制御の信頼性を高めるため、Insulatorを組み込んだコンストラクトを作製し、その効果を検証する。同時に、MEK2やERK1/2、FGFRの機能阻害に有効なドミナントネガティブフォーム、さらにはPax6をノック・ダウンするためのshRNAを胚や幼生を用いて選び出す。最終的に、これらにCre-loxPシステムを組み合わせたコンストラクトを作製し、機能解析用のトランスジェニック個体を量産する。
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Research Products
(14 results)