2011 Fiscal Year Annual Research Report
転写制御機構から探る再生原理
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular mechanisms underlying reconstruction of 3D structers during regeneration |
Project/Area Number |
23124505
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
蒲池 雄介 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (90263334)
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Keywords | 遺伝子 / 発生・分化 |
Research Abstract |
組織が再生する過程を理解するには、その過程で働くシグナル因子群と転写因子群のネットワークのシステム的理解が必要であるが、とくに再生の初期段階を制御する転写ネットワークについての解析はほとんど進んでいない。そこで本研究では、胚発生および幹細胞性の制御において中核的な機能をもつSox転写因子に注目して、ゼブラフィッシュのヒレの発生と再生過程においてこの因子群が担う役割を明らかにする。特に、sox11の発現が成魚ヒレの再生過程で早期に誘導されることに注目して、その発現誘導のメカニズムを解析し、再生の初期段階で働く転写制御システムを明らかにする。最終的には、Soxを核とした再生過程で誘導される転写ネットワークの全体像を明らかにする。本年度は、ヒレの正常発生におけるSox11転写因子の機能の解析を中心にして研究を行った。sox11aとsox11b遺伝子の両方を同時にノックダウンすると、ノックダウン胚のヒレには基底膜構造の破綻に起因するとおもわれる組織構築の異常が見られる。まず、この直接の原因となっているsox11因子の下流で働く遺伝子を明らかにするために、基底膜の形成に直接関わる細胞外マトリックス遺伝子群の発現を調べた。その結果、sox11a/sox11bダブルノックダウン胚では、様々な細胞外マトリックス遺伝子の発現レベルが増加していることがわかった。この細胞外マトリックス遺伝子群の発現上昇の原因を調べるため、sox11a/sox11bダブルノックダウン胚で変動しているシグナル系がないかを探索したところ、TGF-β系のシグナルが亢進していることがわかった。したがって、sox11a/sox11bダブルノックダウン胚では、TGFβシグナルの亢進が細胞外マトリックス遺伝子群の発現上昇につながり、それが基底膜の異常の原因となっていることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゼブラフィッシュ胚のヒレの正常発生において、Sox11転写因子の下流でTGF-βシグナル系が働いていることが見いだされおり、Sox11転写因子の機能の解析はほぼ予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒレ発生におけるSox11の機能の解析をより発展させ、どのようなメカニズムでsox11a/sox11bダブルノックダウン胚において、TGF-βシグナルの亢進が起こるのかを明らかにしていく予定である。さらに、成魚のヒレ再生におけるsox11の役割の解析を重点的に進める。
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Research Products
(2 results)