2011 Fiscal Year Annual Research Report
CK1を介した減数第一分裂期における染色体分配制御機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Systematic study of chromosome adaptation |
Project/Area Number |
23125502
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
作野 剛士 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 特任助教 (10504566)
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Keywords | 染色体分配 / 減数分裂 / 相同組換え / I型カゼインキナーゼ / Aurora B / セントロメア / 分裂酵母 / merotelic結合 |
Research Abstract |
本申請者はモデル生物である分裂酵母を用いて、進化的に高度に保存されたリン酸化酵素であるI型カゼインキナーゼ(CK1)の減数第一分裂期における染色体分配制御機構の解析を行った。 その結果、減数第一分裂期においてmerotelic結合(スピンドル微小管と動原体との"間違った結合")が高頻度に観察されるCK1変異株では、merotelic結合の修正に必須な因子であるAurora B(Ark1)のセントロメア局在量が野生型に比べて低下することを見出した。また、CK1変異株でAurora B複合体の集積を回復させた結果、merotelic結合の出現頻度が部分的に抑圧されることが判明した。さらにCK1は、既知のArk1の局在制御因子であるSgo2と重複してArk1の局在制御を担うことも明らかにした。加えて、リン酸化酵素であるCK1の標的となる基質の同定を試みた結果、Ark1と複合体を形成する因子群(Chromosome Passenger Complex;CPC複合体)の中で、BirlのN末端領域とPiclのC末端領域がin vrtroでそれぞれCK1により高度にリン酸化されることが明らかとなった。また興味深いことに、CK1変異株では減数分裂期組み換え頻度が低下していることも明らかになった。減数分裂期組み換えが全く起こらないrec12破壊株でもmerotelic結合が高頻度で観察される。よって、CK1変異株で観察される著しいmerotelic結合の修正効率の低下は、Ark1のセントロメア局在量と減数分裂期組換え頻度が同時に低下することに起因することが予想された。同時にrec12破壊株を用い種々の解析を行った結果、組み換え反応の欠損がmerotelic結合の修正効率低下を誘起する分子機構を明らかにした(Sakuno T.et al.Dev.Cell.,2011)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CK1が減数分裂期特異的にAurora Bのセントロメア局在を制御することと共に、減数分裂期組換えの制御に必要な因子であることを見いだしたことに加えて、制御減数分裂期組換えが動原体とスピンドル微小管との正しい結合を制御する分子機構を明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
CK1を介したAurora B複合体のセントロメア局在と減数分裂期組換え、それぞれの分子機構を明らかにする上で必須な課題として、CK1によってリン酸化される基質を明らかにすることがあげられる。Aurora B複合体のセントロメア局在に関しては複合体構成因子の一部がin vitroでCK1によってリン酸化を受けることを見いだしている。また、姉妹染色分体の接着だけでなく減数分裂期組換えにも必要なRec8コヒーシンはin vivoでCK1によってリン酸化をうけることが明らかとなっている。よって、今後はこれら候補因子の解析を通じてCK1を介した制御機構に必須な基質同定に注力して研究を遂行する。
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